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後付け無人運転は中小運送向け次世代インフラへ

2026年4月22日 (水)

ロジスティクスLOGISTICS TODAYは21日、東京都トラック協会で「運びと地位向上全国キャラバン2026 in 東京」を開催した。 イベント後半のセッションでは、「新幹線物流×自動運転トラック──始まった“次のインフラ”に、中小運送はどう乗るか」をテーマに、次世代の物流インフラと中小運送事業者の生き残り戦略について熱い議論が交わされた。

自動運転トラックは「脅威」か「インフラ」か

最終セッションでは、自動運転トラックの開発を進めるスタートアップ、ロボトラックの羽賀雄介CEOが登壇し、レベル4自動運転トラックのロードマップが示された。 羽賀氏は、自社が物流事業者と競合する物流会社ではなく、自動運転システムを提供する技術ベンダーであることを強調した。

▲ロボトラックの羽賀雄介CEO

主に高速道路の長距離ピストン輸送(大型単車・セミトレーラー)に特化しており、システムが運転を担う無人前提のレベル4自動運転を初期から目指している。 国土交通省の認識でも、レベル4の国内主要プレイヤーは「いすゞ」と「ロボトラック」の2社とされているという。 同社は2028年度には既存車両への「後付け(レトロフィット)モデル」の提供開始を目指しており、物流会社が今保有している車両に取り付ける形からビジネスをスタートさせる計画だ。 その後、2030年頃には車両メーカーと連携した量産モデルの展開も視野に入れている。

新幹線物流との棲み分けとハイブリッド運用

パネルディスカッションでは、新幹線物流と自動運転トラックがどのように共存していくのかが議論された。JR東日本物流の山崎俊佑次長は、鉄道の鉄輪とレールによる摩擦の少なさからくるエネルギー効率の良さを指摘した。まとまったロットで同じ目的地に運ぶのであれば自動運転トラックが効率的かもしれないが、小口の荷物を相乗りさせるような形であれば新幹線に優位性があり、荷物の種類やロット、リードタイムに応じた最適解を選ぶという相互補完の関係になるとの考えを示した。

▲モデレーターを務めたワンロジの吉岡泰一郎社長

また、セイノースーパーエクスプレスの平井克昌社長は、長距離輸送を担う協力会社の労働時間削減が急務である現状に触れ、顧客の拠点から高速道路に乗るまでは手動運転を行い、高速道路区間を自動運転に任せることでドライバーの労働時間削減につながるとし、自動運転と手動運転のハイブリッド運用に大きな期待を寄せた。

中小運送事業者への導入シナリオ

先進的な自動運転技術が、日本の物流を支える大多数の中小運送会社にどう浸透していくのかについても焦点が当たった。羽賀氏は、新しい技術を導入する上で最も重要なのは経済合理性であるとし、初期段階では補助金を活用しながら人件費と同等水準までコストを抑えることで、中小企業にとっても選択肢になり得ると説明した。普及の進み方としては、いきなりすべての車両を無人運転に置き換えるのではなく、まずは数台から試験的に導入し、有人運転と無人運転のハイブリッドで徐々に移行していく形になるだろうと予測した。導入の際にはシステム上で自動運転と有人運転の切り替えが可能であり、人がいなくて稼働できない時間を自動運転が補うことで、稼働率の向上に寄与するという。羽賀氏は「自動運転が人の仕事を奪うのではなく、人がいなくなるなかでロボットを活用しなければ売上の維持すら難しくなる」と危機感を示した。

「サプライチェーン」から「サプライメッシュ」へ

イベントの結びに、モデレーターを務めたLOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長は、一連の議論を総括した。昨今の地政学リスクや国内の自然災害の多発により、コストのみを追求した一本の線に依存する「サプライチェーン」は機能不全に陥るリスクが高いと指摘した。

▲モデレーターを務めたLOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長

今後は、新幹線物流や自動運転などさまざまな輸送モードを組み合わせ、網の目のようにリスクを分散する「サプライメッシュ」の構築が必要不可欠であると提言した。山崎氏が「変わらない業界は、なくなる業界になる」と語ったように、運送業界は今、生き残りをかけた変革の最前線に立っている。トラック運送、新幹線物流、そして自動運転という新たなインフラをどう使いこなすかが、次代の物流を勝ち抜く鍵となることが示され、熱気あふれるキャラバンは幕を閉じた。

【運びとキャラバン前編】「選ばれる運送会社に」、最新採用策と新幹線物流

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