調査・データEYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC、東京都千代田区)は11日、国土交通省が3月に公表した内航海運における運賃・用船料算出の「標準的な考え方」について、策定支援を行ったと発表した。内航海運業者と荷主企業の価格協議の透明化を目的としたもので、物流コスト構造を整理し、適正運賃収受を後押しする取り組みとなる。
内航海運は国内貨物輸送量の4割を担い、鉄鋼や石油製品、原材料など基幹物資輸送を支える重要インフラとなっている。一方で、事業者の多くは中小企業で構成されており、荷主との価格交渉では運賃や用船料の算定根拠を十分示しにくい構造課題を抱えてきた。
特に、輸送に付随する荷役や待機、各種作業について、どこまでが運賃に含まれるか曖昧なまま総額交渉が行われるケースも多く、発注側と受注側で費用負担認識にずれが生じやすい状況が続いていた。燃料費や人件費上昇が進むなかでも価格転嫁が進みにくい背景には、こうした商慣行の存在が指摘されている。
今回策定された標準的な考え方は、運賃・用船料を構成する費目や算定方法を整理し、価格協議時の共通基盤として活用することを目的とする。国交省は、トラック輸送分野で進めてきた標準的運賃制度に続き、内航海運でも適正取引環境整備を進める狙いだ。
EYSCは策定支援にあたり、日本海運集会所の標準契約書式や各社運送約款を基に、運送契約・用船契約における提供作業を整理。各工程で発生する費用項目を洗い出し、原価ベースの算定手法を整理した。
さらに、内航海運事業者へのアンケートやヒアリングを通じて、料金徴収や提供作業の実態を調査。その結果を踏まえて制度素案を作成し、有識者検討会や荷主ヒアリング、「安定・効率輸送協議会」での議論を通じて調整を進めたという。
内航海運は、ドライバー不足対策としてモーダルシフト推進の受け皿としても期待される一方、船員不足や老朽船問題、収益性低下といった構造課題を抱える。運賃算定の透明化は、持続可能な輸送体制構築や船員確保、設備投資原資確保にもつながるテーマとなる。
EYSCは、今回の制度設計支援について、単なる料金整理ではなく、荷主と内航海運業者の協働による持続可能な物流インフラ再構築につながる取り組みと位置付けている。今後は国や業界団体を中心に周知・活用が進められる見通しで、現場レベルでどこまで定着するかが焦点となりそうだ。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。





























