ロジスティクス人材採用支援を展開するProud Partners(プラウドパートナーズ、東京都新宿区)は17日、物流業界における外国人材採用支援の成功事例を共有するオンラインセミナーを開催した。セミナーでは、同社が支援を手がけたイズミ物流の具体的な取り組みを紹介。外国人ドライバー採用における課題や定着に向けたノウハウが詳しく明かされたほか、同社からは執行役員の奥山健太氏が登壇し、現場の最前線で培ったリアルな施策が語られた。
物流業界における2024年問題による労働時間の短縮と深刻な少子高齢化。ドライバー不足が叫ばれるなか、従来の採用手法に限界を感じ、外国人材の採用へと大きく舵を切った企業がある。ドライバー449人、車両380台を擁するイズミ物流(千代田区)だ。
イズミ物流は、制度開始当初で全国の受け入れ数がわずか151人という極めて前例の少ない段階から、1社で50人もの外国人ドライバーの受け入れを決定。24年8月にプロジェクトを立ち上げ、25年1月からの採用に向けて動いた。セミナーでは、同社を伴走支援したProud Partnersと共に、イズミ物流の執行役員である奥山健太氏が登壇。同氏の口から、具体的なアプローチと現場で培った「定着のノウハウ」が詳細に語られた。
イズミ物流でも、これまで求人媒体の見直し、給与改定、SNS活用など、日本人採用に向けてあらゆる手を尽くしてきた。しかし、奥山氏によれば「一時的な効果はあっても、採用後の早期離職や、そもそも応募が来ないという根本的な課題は解決しなかった」という。
背景には、同業他社や他業界との「限られた日本人の奪い合い」の常態化がある。継続的な給与増や福利厚生の拡充にもコスト面の限界があり、同社は外国人材の採用へと踏み切った。
制度の過渡期において、イズミ物流は3つの主要ルートを中心にアプローチを展開した。
まず着手したのは、国内の日本語学校への直接アプローチだ。学校側の9割が「特定技能制度」の詳細を知らない状態だったため、丁寧な制度説明から信頼関係を構築した。同時に、実務ノウハウが豊富な人材紹介会社や送り出し機関を活用。さらに自社サイトやSNSもフル活用し、直接発信で潜在層へのアピールを重ねた。
特にウズベキスタンでの採用では、政府関与のプロジェクトであったため、政府担当者からも直接情報を収集し確実性を高めた。
受け入れにあたり、最も苦労したのは現場でのコミュニケーションだ。本社には多言語対応スタッフが在籍していたが、実際の運行を支える営業所(現場)での課題解決が急務となった。

▲ウズベキスタンでの募集説明会(出所:Proud Partners)
現場では毎月入社する新人ドライバー向けに、研修資料を原則3か国語で用意。これを現場にも共有し、日本人スタッフにも指導内容を周知徹底した。また、外国人材が学ぶのは標準語だが、方言の強い関西の営業所では、当初双方の意思疎通に時間がかかるミスマッチを経験した。この経験から、配属先の地域特性に応じた教育体制の重要性を痛感したという。
ドライバー数は、1995年のピーク時の98万人から、2030年には52万人までほぼ半減すると試算されるなか、イズミ物流では貴重な人材を定着させるために徹底した現場ケアを行っている。
受け入れは「9営業所」に限定し、同乗研修では新人1人に先輩1人を固定する「バディ制」を導入。「先輩が休む時は新人も休む」を徹底し、教える人による手順のブレから生じる混乱や離職を防いでいる。また、指導役には「雑談力が高い人材」を選抜しているという。
同乗研修期間は日本人の1.5倍から2倍長く設定。社内検定に加え、クライアント側の検定もクリアさせることで荷主の不安を払拭している。なお、普通免許で運転できる1.5トン車中心の事業者であれば、採用・教育のハードルをより低く抑えられるメリットもある。
特定技能制度で必要な生活支援を、同社はコミュニケーションの機会に変えた。引っ越し当日や役所手続きには営業所責任者が同行し、人物理解に努めている。また、社宅管理は本社に一本化して現場の負担を軽減。月1回以上の定期面談を実施し、メンタルケアや給与などの母国語説明を継続している。
当初、社内で懸念された犯罪や事故のリスクに対しては、客観的な統計データを提示。「事故率は国籍ではなく個人の資質による」と説明し、社内の理解を得た。
実稼働に至った外国人ドライバーの評価は高く、取り組みの効果は十分だった。さらに、外国人材が配属された拠点では、日本人スタッフの話し方が穏やかになり職場環境が改善。結果として日本人の定着率や応募率が向上するという、副次的な好循環も生まれた。
日本人は空気を察することを求めがちだが、文化基盤のない外国人には「良い・悪い」をはっきりと伝えることが重要だ。安全や時間厳守といったルールは妥協せず、毅然と指導することが信頼関係につながる。とはいえ一部、夜勤に馴染めず離職したケースもあり、労務管理の調整は続いているという。
独り立ちして1人での運行が始まると日本語を使う機会が激減し、語学力が伸び悩む。今後は特定技能1号からのステップアップ制度を構築し、社内勉強会の主宰や新人の指導役を任せることで、さらなる成長を促す方針だ。
セミナーの締めくくりではプラウドパートナーズの担当者から、建設業界では、先行して入った先輩外国人が新人を指導する仕組みを作ることで、語学力向上と、仲間を呼ぶ「リファラル採用」へとつながっている他業界の事例が紹介された。
また、「特定技能は業界ごとに受け入れ枠が決まっており、すでに上限に達して受け入れを停止している業界もある」とし、「将来的に外国人材が必要になる企業は、枠が残っているうちに早期に採用・ノウハウ蓄積へ動くべきだ」と低減した。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。






























