調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は、窮境企業への再生・廃業支援について、業種や地域性を踏まえた「トリアージ」が必要になっているとの分析をまとめた。2025年度の全国企業倒産は1万505件と前年度比3.5%増え、過剰債務を抱える中小企業も同25.6%に達した。一方で、地域金融機関や公的支援機関の人員には限りがあり、すべての窮境企業に同じ密度で伴走支援することは難しくなっている。
同社は、2期連続で経常赤字となった企業を窮境企業と定義し、業種別、地域別に分析した。全国的には医療業、社会保険・社会福祉・介護事業の窮境比率が高く、生活インフラの維持に関わる業種で収益悪化が広がっている。
物流関連では、水運業の窮境が目立つ。業績算出対象が10社以上ある都道府県でみると、鹿児島県は38.4%、大分県は36.3%、愛媛県は32.5%、広島県は31.2%、長崎県は29.4%、岡山県は22.2%、香川県は20.0%だった。瀬戸内4県はいずれも20%以上となり、離島航路や地域交通、自動車など地場産業の海上輸送を担う企業も含まれる。
道路旅客運送業でも地域への影響が大きい例がある。沖縄県では同業種の窮境比率が23.0%となり、窮境業種の雇用者数では医療業に次いで道路旅客運送業が5972人と多かった。鉄道路線が限られる同県では、バスやタクシーが移動を支える役割を担っており、企業の退出は雇用だけでなく生活交通にも影響し得る。
同社は、限られた支援人材を有効に使うには、窮境度だけでなく、雇用、取引先数、代替の難しさ、地域インフラとしての役割を踏まえて優先順位を判断する必要があると指摘。重点支援から漏れる企業についても、状況が深刻化する前に、事業再生、円滑な廃業、再生M&Aなどにつなげる仕組みが必要になっている。
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