拠点・施設物流不動産市場で新規供給が続く中、テナント企業の拠点選定は、より実務的になっている。高速道路への近さ、賃料水準、雇用環境、災害リスク、既存拠点との距離。物流拠点は、立地のブランドだけでなく、日々の運用コストと人材確保を含めた総合判断で選ばれる。

▲Landportつくばみらい
「Landportつくばみらい」(茨城県つくばみらい市)は、その変化に対し、「常磐道と圏央道を利用できる広域性、つくばエクスプレス・TX沿線の雇用環境、賃料面の競争力を組み合わせて応える施設である」と、野村不動産インフラ・インダストリー事業本部営業部営業二課課長代理の今田翼氏はいう。
施設は常磐自動車道・谷田部インターチェンジ(IC)から約7.1キロ、谷和原ICから約9.1キロに位置する。首都圏広域を配送ターゲットに収めながら、東北エリアへも接続できる立地だ。「首都圏広域へと結ぶ圏央道の内側にあり、都心へのアプローチにおいても優位性がある」(今田氏)
さらに、施設から約3.8キロには、新たなスマートインターチェンジ、つくばみらいSICが今秋に開設予定であり、物流施設としての利便性はさらに高まる。まずは常磐道と圏央道を自在に利用した物流を構築できる好立地こそ、Landportつくばみらいの何よりの強みであることは間違いない。
好立地ゆえに、他施設との競合も激しいと今田氏は認める。他社物件だけではない。常磐道沿線の利便性を生かしたLandportブランドの新施設は、野田がことし3月、柏の新施設も7月竣工を予定する。昨年すでに完成したつくばみらいのライバルたちが、続々とテナント獲得競争に参画する状況だ。
それでも今田氏は、Landportつくばみらいには、ほかの物件と一線を画す明確なポイントがあると語る。
「コスト優位性とバランスのよさ。それが当物件の強みである。」
「コスト優位性」といっても、単に賃料が安いという意味ではない。「つくばという名前で遠い先入観を持たれることがあるが、実際には圏央道の内側で柏ICのたった1つ先である谷和原ICからアクセスでき、思ったより近いということを確認してもらえるはず。そのうえで一般的な賃料相場で比較してもらえれば、つくばみらいの優位性を理解してもらえるのではないか」(今田氏)
首都圏へのアクセスではほかの常磐道人気エリアと遜色がないことや、東京港までの所要時間についても、圏央道エリアの埼玉県久喜などの人気エリアと同等水準であることを踏まえた上で、コストも含めた物流施設再編の最適解を検証してもらいたいと今田氏はいう。

▲今田翼氏
物流拠点の新設、移転、再編では、物流コストの改善が最も大きな判断軸になる。特に、在庫保管やBtoC向け出荷、作業員を多く配置するEC(電子商取引)、アパレル業務では、施設賃料と雇用確保の両面が事業収支に直結する。物流機能の再構築に際して施設の運用コストと効率をシビアに見極めるのは当然のこと。Landportつくばみらいは、物流だけではなく事業再編を見据え、事業の継続性と成長力を両立できる施設になると今田氏はいう。都心近接や国道16号を使った運用という面では多少見劣りしても、コストとのトレードオフ、無理のない安定した配送確保で考えれば、バランスのよい選択肢となるのではないかと提案する。
雇用と安定性で選ばれる拠点へ
雇用環境も、つくばみらいの大きな強みだ。TX「みらい平」駅から徒歩約18分という距離は、物流施設としては希少性がある。各地で人手不足・高齢化が課題となる中、TX沿線を中心としたつくばみらい市では住宅開発や人口流入が進んでいる。雇用確保、事業の継続性に悩む事業者にとっては、エリアに流入する若年層が長期雇用を支えることも期待できる状況だ。
さらに、周辺にはもともと物流センターや工場が集積しており、配送・雇用の両面で連携しやすい。近隣ではつくばみらい第一工業団地の整備も進む見通しで、将来的には進出企業の生産拠点やサテライト拠点としての活用も考えられる。物流施設を単独の倉庫として見るのではなく、地域の産業集積と結び付く拠点として捉えれば、つくばみらいの意味はより広がる。
BCP面でも訴求しやすい。津波、洪水、高潮、土砂災害のハザード対象外とされている。災害リスクが意識される中で、立地そのものの安定性は、在庫保管や継続出荷を重視する荷主にとって重要な判断材料となる。コスト、雇用の確保、BCP対応において、つくばみらいは「安定性」に優れたバランスの良い施設であることがわかる。
施設の物流スペックも、幅広い用途に対応することを目指したものである。延床面積は約3万8585平方メートル。S造4階建てのスロープ型施設で、1階と2階に片面接車バースを設けた。貸床は倉庫、トラックバース、事務所を組み合わせ、1棟利用に加え、1階・4階を組み合わせたA区画、2階・3階を組み合わせたB区画といった分割利用にも対応する。EC、アパレル、文書保管、近隣工場のサテライト拠点など、幅広い業種や荷姿に応じた使い分けを想定した設計である。

▲荷役環境を整えたバース前車路
バースまわりでは、雨天時にも荷物を濡らしにくい荷役環境を整えた。バース前の車路は、バース奥行き13メートル以上、バースと車路を合わせた有効幅26メートル以上を確保。トラックの接車、荷役、構内移動に余裕を持たせることで、ドライバーと庫内作業者の双方にとって作業しやすい動線とした。倉庫は床荷重1.5トン/平方メートル、梁下有効高5.5メートル以上を確保し、標準的な保管・流通加工業務に対応する。荷物用エレベーターも備え、複数階利用や分割利用時の縦搬送を支える。
加えて、トラックドライバー向けの休憩室を用意していることも見逃せない。物流施設の機能は、荷物を効率よくさばくことだけでは完結しない。荷待ち・荷役時間の短縮やドライバーの労働環境改善が社会課題となる中で、施設側がドライバーの滞在環境に配慮することは、持続可能な物流を支える基本条件になりつつある。Landportつくばみらいは、施設を使う荷主や3PLだけでなく、そこに出入りする輸送事業者、ドライバーまで含めて、物流を止めないための場づくりを意識した施設といえる。
環境面では、屋根上への太陽光発電設備の設置を予定するほか、館内照明のLED化など、近年の物流施設に求められる基本的な環境性能も備える。環境配慮はもはや特別な付加価値ではなく、荷主企業が拠点を選ぶ際の前提条件になりつつあり、物流施設として長く使われるための基礎性能についても再確認しておきたい。
成長する街で物流の未来を支える
地域の人口増加、活性化に合わせて周辺の開発も続く。あわせて、つくばみらいSIC開設と周辺道路インフラの拡充・整備も進められており、従来の「つくばは遠い」という先入観を覆す決定打となる。
物流不動産の選別が進む今、施設の価値は「都心との物理的近接性」だけが絶対ではない。現時点で可能な限りのハイスペックを求めるのなら、別の施設を検証してもよいのかもしれない。しかし、人口減少や高齢化など想定されていたリスクに加え、海外情勢やパンデミックなどサプライチェーンを脅かす予期せぬリスクも相次いで顕在化するなど、もはや想定外とは呼べない状況である。コスト、雇用、広域配送、災害リスク低減を総合的に評価する企業にとって、事業を継続していくこと、多様な条件を比較して最適解を選定することこそ、物流起点の価値創出となる。
必要なのは、配送できる範囲、集められる人材、抑えられるコスト、物流スキームを維持できる立地のバランスである。EC、アパレル、さらには文書保管や、近隣工場のサテライト拠点、関東近郊での新拠点再編を検討する荷主・3PLにとっても、有力な選択肢になり得る。Landportつくばみらいは、常磐道と圏央道を使う広域性に、TX沿線の雇用環境とコスト競争力を重ねた。首都圏北東部で物流拠点を見直す企業にとって、単なる郊外立地ではなく、攻めと守りを兼ねた実務に即した再編拠点としての意味を持つ。
今田氏自身も、つくばみらいエリアの勢いを肌で感じているという。子育て世代が流入し、工業団地の整備によって産業集積も進もうとしている。街が育ち、人が集まり、産業が根を張る。その動きと歩調を合わせるように、Landportつくばみらいは、これからの物流を受け止める器となる。
これからの物流施設に求められるのは、速く運ぶための近さだけではなく、働く人を確保できること、運ぶ人に無理を強いないこと、災害時にも事業をつなげること、そして成長する地域の産業を支え続けることであり、Landportつくばみらいは、首都圏で物流拠点を見直す企業に、攻めと守りを兼ねた現実解を示す。
コストやバランスを見極めることは決して消極的な選択肢ではない。「つくばみらい」という地名が示す通り、ここには、成長する街の未来がある。Landportつくばみらいは、その未来を、物流の側から支え、守り、次へつなぐ拠点として、常磐道沿線に立つ。

所在地:茨城県つくばみらい市紫峰ヶ丘3-36-2(地番)
敷地面積:1万7085平方メートル
延床面積:3万8585平方メートル
規模・構造:S造・耐震・地上4階建て(スロープ型、1階・2階片面接車バース)
用途地域:準工業地域
アクセス:常磐自動車道・谷田部ICから7.1キロ、谷和原ICから9.1キロ、つくばみらいSIC(2026年開通予定)から3.8キロ、つくばエクスプレス・みらい平駅から徒歩18分
完成:2025年6月末

































