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三菱重工、スーパーエコ貨客船「橘丸」引渡し

2014年6月5日 (木)

荷主三菱重工、スーパーエコ貨客船「橘丸」引渡し三菱重工業は4日、東海汽船向けの貨客船「橘丸」(たちばなまる)を下関造船所(山口県下関市)で引き渡した。

橘丸は、高効率推進システムを採用して大幅な省エネ・環境負荷低減を実現した「スーパーエコシップ」で、快適性や安全性も向上させた。イラストレーターで東海汽船名誉船長の柳原良平氏がによるイエローオーカー色(黄土色)とオリーブグリーン色の斬新なカラーリングも特徴。

同船は全長118m、幅17m、深さ8.95m(喫水5.4m)で、総トン数は5681トン。航海速力は時速19ノット(35.2キロ)。昨年3月に起工し、同11月に進水、今月27日から東京と伊豆諸島を結ぶ航路に就航する。

推進システムは、低速ディーゼル機関の1軸推進によるプロペラと、推進方向が自由に変えられる電動アジマス推進器のプロペラを前後に直線配置し、二重反転させる「タンデム・ハイブリッド型CRP推進方式」を採用。従来の2軸推進方式に比べ、船底の付加物が減ったため、水中の抵抗が大幅に減少した。

また、速度制限がある湾内・水道では燃費性能に優れた低速ディーゼル機関だけを使った推進に切り換えることで、さらに省エネ効果を高めることができる。

この結果、推進システムの省エネ性能は、東海汽船で就航中の貨客船「さるびあ丸」(同社建造)と比べ、15.6%改善。主機関の低速ディーゼル機関には電子制御燃料噴射装置を搭載し、機関燃焼効率が向上、排ガス中のCO2とNOx(窒素酸化物)が減少する。排ガスの熱を有効利用する装置も搭載している。

快適性の面では、1軸推進の採用で主機関が1基となり、必要出力を静粛性が高い電気推進と分担して確保することで、低騒音・低振動を実現。さらに、船首の横方向推進用スラスター(バウスラスター)、アジマス推進器が船尾の横方向推進用として活用できることから、離着岸の安全性と迅速性も向上する。