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富士経済調べ

水素燃料関連市場、25年度に5228億円

2014年7月17日 (木)

調査・データ富士経済(東京都中央区)は16日、燃料電池車(FCV)で利用される水素燃料と水素ステーションなど水素供給インフラや関連機器といった水素燃料関連の国内市場を調査し、結果を報告書「2014年版水素燃料関連市場の将来展望」にまとめた。

調査結果によると、水素燃料関連の市場規模は2025年度に5228億円となると予測。今年度中に燃料電池車の販売が開始された後、車載用機器や水素燃料市場が拡大し、2018年度ごろから水素発電の市場が立ち上がることで20年度以降、燃料電池車と水素発電の拡大とともに水素燃料の需要が大きく増加する。

■水素ステーション、25年度に累計950台稼働
水素ステーションは、ステーションで水素の製造を行うオンサイトタイプと、ステーション以外で製造した水素を運搬しステーションで供給するオフサイトタイプ、オフサイトの中でも機能をパッケージ化しトレーラーに搭載した移動式に区分される。

14年度の燃料電池車の販売開始を前に、13年度から3年にわたり100件を目標に商用水素ステーションの先行整備が、助成金交付とともに進められており、15年度には新たに47件が建設され、累計で85件の水素ステーションが稼働する見通し。

しかし、燃料電池車の販売開始直後はユーザーが少なく水素ステーションの稼働率も低いことから、富士経済は「16年度以降の市場は一時的ではあるものの縮小が予測される」と分析。

燃料電池車の量産モデルが投入され、年間の販売台数が10万台に達する20年度以降、水素ステーションの整備が再び活発化し、25年度には年間で150件(金額ベースでは401億円)が建設され、累計で950件の水素ステーションが稼働するとみている。

■ステーション関連機器、25年度298億円市場
水素ステーションに関連する機器としては、水素製造装置、蓄圧器、水素コンプレッサ、水素ディスペンサ、プレクール装置、水素バルブ、水素センサなどがあり、市場は水素ステーションの建設件数に連動し、14年度から15年度にかけて拡大、15年度で96億円、25年度には15年度比3.1倍の298億円に拡大する。

■水素燃料市場、25年度1105億円
燃料電池車向け水素燃料の市場は、現状ではほとんど形成されていないが、燃料電池車の市販化が始まる14年度に市場が立ち上がり、量産モデルの投入によって20年度以降大きく伸びると予想した。普及台数に比例して水素燃料の需要も高まり、25年度の市場は数量ベースでは12億立方メートル、金額ベースでは947億円まで拡大すると予測。

同社は「水素は非常に軽くエネルギー密度が低いことから高圧化して密度を高めるが、この高圧技術とそれに関わる機器のコストが高額となっている。水素ステーションなどでの水素燃料の販売価格を押し上げる要因となっており、今後の拡大には価格低減も必須となる」と指摘している。

水素発電は17年度に実証用発電設備の建設が計画されており、徐々に拡大していく。25年度には燃料電池車と水素発電向けを合わせた水素燃料市場は、19億立方メートル、1105億円と予測した。

水素輸送用機器は、輸送用容器がオフサイト式水素ステーションの増加に伴い拡大。水素輸送船は海外から水素を輸入するパイロットプロジェクトの準備が進んでおり、スポット的ではあるものの市場を形成する。

車載機器は燃料電池車の販売開始、需要増加によって市場が拡大。水素センサは安全のために設置が義務付けられており、価格以上に信頼性への要求が高いことから単価の下落は起こりにくく、同社は「安定した伸びが期待できる」とみている。

一方、高圧容器は18年度以降の量産モデルの投入に伴い、関連部品も量産体制に入り、バルブなどの周辺機器の低コスト化が進むことで、大幅なコスト削減が進むと見られる。