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一五情報サービス調べ、震災後の物流不動産マーケット

2011年3月28日 (月)

ロジスティクス一五不動産情報サービスは28日、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が物流施設の不動産マーケットに与える影響をまとめた。東日本大震災により、物流不動産マーケットでは一時的に需要が増加する可能性があるものの、今後の経済活動の低迷で新規需要が減退する見込み。特に、電力不足による生産・消費活動への影響を注視する必要がある、と指摘している。

 

東北エリアの物流施設需要予測
東北・関東エリアでは、被災した物流施設の代替物件ニーズが高まっており、日本ロジスティクスファンド投資法人が八千代物流センターでTOTOと短期契約に応じたほか、GLプロパティーズも緊急需要に対応する姿勢を打ち出している。

 

ただ、中期的には震災の影響により「大規模拠点の開設などの経営判断が先送りされる可能性」に言及。今後の景況感次第では新たな拠点展開、特に大規模な開設や移転が減少する懸念があると見ている。湾岸と内陸の立地評価、耐震基準、地盤などの物流施設の選定基準についても変化する可能性があるものの、現時点では「目立った変化はない」と予想している。

 

また、電力不足により工場の稼働率低下が懸念され、生産領域で物流ニーズの減退もありえる。当面はサプライチェーンを維持するための一時的な保管庫を必要とするケースが見込まれるものの、一時的な需要にとどまり、稼働率の低下を嫌う企業が一部商品の生産を他工場に移転する可能性がある。さらに、電力料金の見直しなどがあれば、生産コストが上昇し、工場の海外流出に拍車を掛ける、としている。この場合、大規模工場用地を売却するケースも出てくる見通し。

 

東北地方に立地する倉庫施設の全国シェアは5.7%だが、賃貸向け大規模物流施設(5000平方メートル以上)に限ると、賃貸面積は22.9万平方メートルにとどまる。東京圏のストック量600万平方メートル超、大阪圏200万平方メートル超と比較した場合、東北エリアの大規模賃貸物流施設はストック量がそれぞれ26分の1、9分の1となっている。

 

東京圏の物流不動産マーケット
1月に同社が発表した2011年から12年にかけての東京圏予測では、空室率の改善が進み、概ね5%を下回る見通しとなっていた。震災後の再シミュレーションでは、新規需要の落ち込みをおり込み、12年まで8%前後の空室率で推移すると予測している。

 

賃料水準は、1月発表時点で「7月から緩やかに上昇しはじめ、12年10月には坪単価4330円となり、09年1月から4月の水準に回復する」と予測していたが、再シミュレーションの結果、11年中は坪4000円前後の水準が持続する見通しに変化した。12年に入って徐々に賃料水準の上昇が始まり、2年後の13年1月に坪4110円に達する見通し。震災前の予測に比べ、賃料上昇のタイミングが1年程度先送りされ、上昇スピードも緩やかな予測結果となっている。

 

同社では、「震災後も変わらないこと」として「物流施設の大型化」や「自社から賃貸への流れ」が持続すると見ており、東日本大震災によって「改めて不動産の保有リスクを再考するきっかけになったと思われる」としている。

 

■詳細は下記URLを参照。
http://www.ichigo-re.co.jp/img/150/20110328_report.pdf