調査・データ米市場調査会社のパノラマデータインサイトは6日、世界のバイオ医薬品向け3PL市場は、2024年に1434億4000万ドルとなり、33年には2581億6000万ドル規模にまで成長するとのレポートを公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は6.62%となる。特に日本では、高齢化の進展とともに精密医療や個別化医療への注目が高まり、バイオ医薬品の安定供給を支える3PLの役割が今後さらに重要性を増していくとしている。
バイオ医薬品は一般的な医薬品とは異なり、極めて繊細な温度・湿度管理が求められるため、冷蔵冷凍設備やリアルタイム監視システム、専用輸送車両の整備が欠かせない。世界市場では、IoTやAIを活用した「スマートコールドチェーン」の導入が加速しており、日本国内の物流事業者も追随する動きを強めている。
日本の医薬品物流業界は、国のガイドラインに基づき、品質保証の高度化を図っており、バイオ医薬品に特化した3PL業者の育成が進んでいる。特にバイオ医薬品の分野では、温度逸脱時の対応手順や輸送履歴の完全なトレーサビリティが求められるため、3PL企業は専用のIT基盤の整備と人材育成に力を入れている。
中堅・中小規模の製薬企業が3PLとの連携を強化する動きも顕著になっており、3PL事業者が自社内に温度監視センターやリスク評価チームを設けるケースも増えるなど、製薬企業との共同開発型物流モデルが進んでいる。
また、物流へのデジタル技術の導入も進んでおり、ブロックチェーンを活用したサプライチェーンの透明性向上、AIによる需要予測、輸送ルートの自動最適化などが普及しつつある。これによって、突発的な需要変動や緊急出荷に対しても迅速な対応が可能となり、医療機関や患者からの信頼も高まっている。
日本での医薬品供給の課題は、地方の高齢化地域への対応で、3PL事業者には広範なエリアに医薬品の供給が可能な分散型物流拠点の整備が求められている。このため、レポートでは「ドローン輸送や自動運転車両などの新技術も視野に入れたロジスティクス革新が、バイオ医薬品の3PL業界の未来を大きく変えていく可能性がある」と指摘している。
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