ロジスティクス日本貨物鉄道は23日、2015年度の事業計画を発表した。15年度は鉄道事業の16年度黒字化達成に向けてマーケティング・営業力の強化を図り、鉄道事業の営業損失を39億円に圧縮するとともに、関連事業の営業利益110億円、最終利益51億円を見込む。
14年度は東海道線の土砂流入災害でコンテナ輸送の半分が通過する区間が10日間にわたって寸断されたことが大きく影響し、運輸収入の計画は未達成となった。関連事業で安定した収益を上げたものの、電力料金の高騰による動力費の上昇、修繕費投入に伴う線路使用料の増加が「経営に重大な影響」を与え、鉄道事業で目標とする営業損失は計画に達せず、収益が悪化する見通し。
15年度は、(1)マーケティング力と営業力強化による営業収益の拡大(2)鉄道輸送の利益率向上に向けた輸送力再編と商品力の強化(3)ボトムアップによるコスト削減(4)鉄道保管・付帯事業への経営資源の投入――の4項目に重点を置き、関連事業では未利用鉄道用地を活用した分譲マンション・宅地造成事業に取り組むほか、貨物駅構内の未利用地を活用した物流施設、商業施設の新規開発を推進する。
これらの取り組みにより、鉄道事業の営業損失39億円、関連事業の営業利益110億円、経常利益45億円、最終利益51億円を計画。16年度の鉄道事業黒字化と18年度の「経営の自立」を目指す。
設備投資は老朽設備・車両の更新、安全投資のほか総額259億円を計画、鉄道事業に253億円を投入する。安全面では198億円を投入し、ATS装置の機関車への搭載、貨物駅構内への速度照査機能付ATS地上子の新設、運転士異常時対応訓練用シミュレータの導入、運転支援システム車載端末更新、鉄まくらぎの投入、連動装置取替え、入換信号機のLED化などに充てる。
営業面では、本社に設置したマーケティングセンターが中心となり、顧客の声に即した営業方針の策定、情報発信と新規顧客開拓の強化に取り組むほか、ISO海上コンテナの利用拡大と輸出入のマッチングへの取り組み、「シー&レール」サービスによる国際複合一貫輸送の商品群の強化、イールドマネジメントの導入による「需要に応じた弾力的な価格設定と収益の最大化」を進める。
このほか、新たに物流施設を購入して賃貸する事業スキームの立ち上げ、東京貨物ターミナル駅用地の高度利用化を実行し、総合物流企業として発展するための布石を打つ。