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東レ、PPS樹脂の生産能力を増強

2011年6月9日 (木)

アパレル東レは9日、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂「トレリナ」の生産能力を増強すると発表した。同社東海工場(愛知県東海市)に年産5000トンの生産設備を増設し、2013年1月の稼働開始を目指す。

 

これにより東海工場のPPS樹脂生産能力は、年産1万9000トンに拡大する。同社はさらに、PPS樹脂の需要拡大に対応するため、次期増設の計画検討に着手する。

 

東レはPPS樹脂事業の拡大に向けて、増産による安定供給体制を構築し、環境対応製品、省エネ対応製品向けを中心に新規用途開拓を進める。自動車分野では、HEV・EV化に伴うインバータやモーター用途など、軽量化やカーエレクトロニクス化対応電子部品での需要拡大が見込まれ、電気・電子機器や住設分野では、パソコンの機構部品や筐体、コンデンサ部品、給湯器バルブなどに用途拡大が進んでいる。

 

今回の年産5000トンの増設プロセスでは、従来比60%のポリマー低ガス化技術を適用。この低ガスポリマーを原料とするコンパウンドは、成形時に発生する金型付着物を低減することにより、「顧客は金型メンテナンス負担軽減と生産性向上効果を享受できる」としている。

 

また、合わせて同社独自のポリマーアロイ技術や低ハロゲン化技術、炭素繊維強化技術などを駆使して新規グレードの開発を進めるとともに、中国を中心とする海外でのコンパウンド拠点をさらに拡充し、グローバルな拡販体制の強化を図る。

 

PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性などに優れたスーパーエンプラで、自動車の電装部品や電気・電子機器、OA機器、住設関連部品などに使用され、採用領域が拡大。PPS樹脂コンパウンドの世界需要は約7万5000トン(2010年)と推定され、今後も年7%以上の高成長が見込まれている。