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くし型突堤埋め立て自動車保管用地45ヘクタールを確保

中部地方整備局、名古屋港金城ふ頭の再編改良に着手

2015年4月16日 (木)

ロジスティクス中部地方整備局名古屋港湾事務所は16日、自動車関連産業の国際競争力の維持・強化を目指し、金城ふ頭の再編改良事業に着手すると発表した。

非効率な物流の改善や船舶の大型化への対応を図るため、水深12メートルの岸壁・泊地・航路を整備するとともに、くし型の突堤間を埋め立てて自動車の保管用地を整備する。

新設する水深12メートル岸壁は耐震強化岸壁として整備し、大規模地震発生後の緊急物資の輸送や自動車輸送機能の早期回復で利用できるようにする。

名古屋港は完成自動車の輸出取扱台数が国内の4割を占め、中でも金城ふ頭からは三菱、トヨタ、ホンダ、スズキの新車や各メーカーの中古車などさまざまな完成自動車を年間40万台、世界各地へ輸出しているが、水深12メートルを必要とする自動車運搬船の着岸が増え、既存施設では荷物を満載できないことから、緊急的な対応が必要となっていた。

また、完成自動車の海上輸送は、船積み前の自動車を保管する広い用地が必要だが、金城ふ頭は狭くほかのふ頭に点在する保管用地を確保しているため、完成自動車を移動させる必要が生じ、輸送コストの増加が問題となっている。

そこで、今後想定されている金城ふ頭の交流拠点整備を見据え、交流拠点と完成自動車の物流機能の棲み分けを図り、効率的な完成自動車の輸送体系を構築することにしたもの。

岸壁の多くは整備後40年以上が経過していることから老朽化が進み、これらの施設の機能維持のためには大規模な修繕・改修費用が必要となるため、施設の新規整備に合わせて老朽化施設の利用転換を含めた対応を実施し、トータルコストの低減を図る。

再編改良事業は15年度から2021年までを事業期間に設定し、事業費182億円を投じて完成自動車輸送の「船舶の大型化」「狭隘な保管用地」「施設の老朽化」などの課題に対応する。

中部地方整備局、名古屋港金城ふ頭の再編改良に着手

(出所:中部地方整備局)

具体的には、自動車保管用地を集約することで保管費用を年間5億円削減するほか、大型船による大量輸送を可能とすることで輸送コスト削減や大規模災害時の輸送機能維持による代替港までの輸送費用削減など、年間29億円の経費削減効果を見込む。

金城ふ頭西側の既存の水深10メートル岸壁(W85)を増深・延長し、水深12メートル、延長340メートルの岸壁に改良。岸壁前面の泊地を整備する。

現在、自動車保管用地は、弥富ふ頭や金城ふ頭、空見ふ頭に合計47ヘクタールの用地が存在するものの、30か所以上に点在し、それぞれに人員や管理スペースを配置、船積み場所までの距離も課題となっている。

このため、金城ふ頭先端に位置する突堤間16.4ヘクタールを埋め立てて自動車保管用地を増設し、船積み場所に近いこの場所に集約した自動車保管場所(45ヘクタール)を確保する。

整備後は弥富ふ頭の自動車輸送機能を金城ふ頭に集約し、年間57万台の完成自動車を取り扱うことができるようにする。15年度は、設計に必要な土質調査を実施後、岸壁の設計を実施する。