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JLL調べ

首都圏の賃貸物流施設、20年までに賃料18.3%上昇

2015年12月7日 (月)

調査・データジョーンズラングラサール(JLL)は7日、物流不動産の今後の需要予想をまとめたレポート「首都圏の物流不動産賃貸市場:揺籃期を脱し、確立・成長期に」を発刊したと発表した。

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▲大型先進物流施設の新規供給量(首都圏)

首都圏を中心とする物流不動産の賃貸市場、市場拡大の背景やセクター別の需要を分析し、2020年までの動向予測をしたもので、首都圏の先進大型物流施設の賃料上昇率は「20年までに合計18.3%」になると予測した。

6年間の年平均上昇率(CAGR)は2.8%で、「市場が揺籃期を脱しつつあることや需給面を考慮」し、前半の3年間の上昇率が高めとなり3.7%、後半の3年間は2%成長と保守的にみている。20年の月額賃料は、直近のピークである07年の坪当たり4756円をやや下回ると予測したが、「市場自体の構造が大きく変化し、経済合理性やマーケットメカニズムに基づいた形で、確立・成長期となる可能性が高く、さらにモメンタムが継続・加速するだろう」との見方を付け加えた。

首都圏の賃貸物流施設、20年までに賃料18.3%上昇

▲首都圏大型先進物流施設のテナント構成(2010年-14年の新規供給分)

10年から14年に竣工した首都圏の先進大型物流施設のテナントをみると、成長モメンタムが続くインターネット通販が床面積合計の17%、3PLは45%とほぼ半分近い面積を占め、15年から20年に新規供給される首都圏の先進大型物流施設は、インターネット通販市場の成長に伴い裾野が広がり3PLへの集中が加速すると予測し、インターネット通販が新規供給床面積合計の21%、3PLは50%と予想した。

消費財メーカー、小売業者、宅配便関係などの成長余地は相対的に低く、新規需要も限られ、新規供給床面積に占める比率は低下、29%にとどまるとみている。

首都圏の賃貸物流施設、20年までに賃料18.3%上昇

▲首都圏大型先進物流施設のテナント構成予想(2015年-20年の新規供給分)

首都圏の大型先進物流施設の新規供給量は、インターネット通販や3PLを中心に需要が旺盛で、アベノミクス効果を背景とした景気回復環境もあり、ディベロッパーや投資家も新規開発プロジェクトに積極化していることから、15年の34万坪に続き、16年から20年までの5年間の供給は合計で115万坪、年平均で23万坪が供給されると予想。

06年から14年までの平均15万坪に比べると、50%強多い供給となるが、「地価や建設コストが上昇してプロジェクト投資額が膨らむ一方、投資マージンも圧縮されている状況を鑑みると、賃料の上昇を想定しないと開発プロジェクト自体が成り立たない状況になっている」と指摘している。