ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

運輸安全委、札幌貨物駅の列車衝突事故で報告書公表

2016年2月25日 (木)

調査・データ運輸安全委員会は25日、札幌貨物ターミナル駅で昨年2月に発生した日本貨物鉄道(JR貨物)の列車衝突事故に関する報告書をまとめ、公表した。

この事故は昨年2月17日、JR貨物の機関車1両が札幌貨物ターミナル駅構内で、釧路貨物駅発札幌貨物ターミナル駅行き16両編成と側面衝突したもので、負傷者はいなかった。

機関車は操車担当者の入換合図を受けて白石通路線から操2番線厚別駅方まで運転中、同線厚別駅方の車両停止標識を行き過ぎ、隣接線を支障して停止。一方、釧路貨物駅発札幌貨物ターミナル駅行き16両編成(機関車1両、貨車15両)の高速貨物列車「第2092列車」は、新札幌駅を定刻の23時9分に通過後、札幌貨物ターミナル駅構内に進入し、操1番線に到着する予定で時速33キロで入換機関車の横を通過したが、列車の運転士が接触音を確認したため、直ちに非常ブレーキを使用し、列車は50メートル走行して停止した。

停止後、運転士が列車から降りて確認したところ、列車の1両目の側面が、操2番線の入換機関車と衝突していた。列車には運転士1人、入換機関車には運転士1人が乗車していたが、負傷者はいなかった。

この事故の原因について、運輸安全委は「札幌貨物ターミナル駅構内で、入換機関車が隣接線を支障して停止していたため、隣接線を走行してきた高速貨物列車の機関車の側面が衝突したことにより発生した」と推定。

入換機関車が隣接線を支障して停止したことは、所定の停止位置に接近していることに操車担当者が気付かず、入換合図「停止せよ」の表示が遅れた可能性があると考えられる、と指摘し、このために入換機関車の運転士のブレーキ操作が遅れ、事故に至ったとの見方を示した。

また、入換機関車が停止位置に接近していることに操車担当者が気付かなかったのは、「作業手順を考えながら誘導を行ったことによる可能性がある」とした。

ブレーキ操作に影響を与えた要因については、入換機関車の運転士が、聞き間違いにより入換えの区間(誘導区間)の終端が変更されたと思い込み、所定の停止位置に一旦停止せずに入換えを行おうとしたのが影響した可能性があると指摘。同駅の関係係員が「1作業1通告」を規定する同社の駅運転取扱作業マニュアルを正しく理解していないことが関与した、との見方だ。

さらに、入換機関車が隣接線を支障して停止した状態で列車の接近を確認した際に、関係者の誰もが緊急停止手配などの措置を採らなかったことが事故の発生に関与したと指摘した。

事故報告書の公表を受け、JR貨物は「このような事故を発生させてしまったことについて、関係者に多大な迷惑をかけたことを改めて深くお詫びする。事故の発生以降、関係者に対する教育・指導を実施し、再発防止を図ってきたが、報告書の内容を検討し、できる限りの対策を確実に実行する」とのコメントを発表した。

■報告書の詳細
http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2016-2-1.pdf