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TSR調べ

1-10月の不動産取得、物流トップは日本トランスシティ

2016年11月9日 (水)
TSR調べ
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拠点・施設東京商工リサーチ(TSR)は9日、1月から10月までの上場企業による不動産取得調査結果を発表した。国内不動産の取得、工場・社屋の新設などを公表した上場企業は43社にとどまり、「4年ぶりに前年割れになる見通し」(TSR)。

過去調査の年間推移は、2008年に56社、09年28社、10年41社、11年36社、12年22社と「大局的には減少トレンド」をたどったが、13年は56社と一気に増加に転じた。しかし14、15年は同じ社数で推移し、前年実績が壁となる「足踏み」状況が続いていた。

1-10月に企業が取得した土地の面積は、公表した29社の合計が71万1945平方メートルにのぼり、1社あたりの面積では前年の「33社で77万1291平方メートル」を上回る。

取得土地面積でトップは、埼玉県飯能市に新たなテーマパーク「ムーミン谷(メッツァ)」を開設するための土地を取得したフィンテックグローバルの18万7000平方メートル。次いで、新たな生産拠点を建設するため埼玉県入間市の土地を取得する、中村屋の8万3000平方メートル。関東地区で物流拠点の再編・拡充を目的に、埼玉県幸手市に新倉庫を建設するため5万5700平方メートルの土地を取得した日本トランスシティと続く。

取得(投資)額の総額は、公表した38社合わせてで1191億9900万円に達した。投資額トップは、シャープの172億1400万円。3月に大阪市阿倍野区の旧本社に隣接する田辺ビルを譲渡していたが、最先端技術の開発などの中核拠点としての活用を目的に、138億9700万円で買い戻した。さらに、スマートフォン向け電子部品事業での協力工場(三重県)が使用中の土地、建物なども33億1700万円で取得した。

2位は日本トランスシティの140億円。3位のマルサンアイは、需要拡大に向けた安定供給を目的に豆乳、飲料などの製造工場建設に77億円を投じ、鳥取県内の工業団地に進出する。4位のドウシシャは、グループの東日本の物流拠点として、千葉県木更津市に76億5525万円を投じて物流センターを建設する。

業種別では、サービス業・卸売・食料品が各5社で最多。次いで、機械とその他製品が各4社、化学が3社と続く。業種別の取得(投資)金額で、最も大きかったのはシャープ。取得金額が押し上げた電気機器の195億3400万円。次いで、食料品の194億4000万円、卸売業の147億4700万円、倉庫・運輸関連業の140億円、サービス業の78億8000万円、その他製品の71億8000万円と続く。

取得理由は、新工場や新社屋の用地取得や建設などの「事業拡大」型が36社で最多で、賃貸物件を自社所有にする「経営安定」型が5社、賃貸用ビル、土地建物などを取得する「事業用収益物件の取得」型が1件、売電事業などの「新規事業」型が1件だった。