ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

運送会社の利益率、燃料費低下で改善も人手不足圧迫

燃料価格100円超で「極めて深刻な影響」、全ト協報告

2017年3月23日 (木)

調査・データ全日本トラック協会(全ト協)が23日公表した2015年度決算版の経営分析報告書によると、燃料価格下落伴いコストを削減できたことで営業赤字の運送会社の割合は減少したものの、人材不足対策によるコストアップ要因が響き、業績改善は限定的となったことがわかった。

燃料価格の下落にもかかわらず、運転者人材の不足から人件費比率、傭車費比率が増加し、営業黒字の事業者の割合は過半数を占めているものの51%にとどまった。特に車両10台以下は過半数が営業赤字で、55%が営業赤字を計上した。

1社あたりの平均売上高は14年度より0.3%多い2億149万2000円、営業利益率はマイナス0.3%と依然として業界全体の平均では営業赤字となったが、前年度との比較では0.6ポイント改善した。特に改善幅が大きかったのは車両10台以下の運送会社で、営業利益率が1ポイント改善し、マイナス1.3%となった。

このほかの車両規模別営業利益率は、11-20台がマイナス0.4%(0.6P改善)、21-50台がマイナス0.2%(0.6P改善)、51-100台がマイナス0.1%(0.5P改善)、101台以上が0.0%(0.2P改善)――となり、101台以上の運送会社が3年ぶりに営業赤字を脱した。

燃料価格100円超で「極めて深刻な影響」、全ト協報告5

(出所:全日本トラック協会)

03年1月に1リットル63円台(ローリー)だった軽油価格は、08のリーマンショックを契機とした急騰、急落を経て14年10月から16年8月までの間、72.45円から111.51円の範囲で推移し、23か月の平均価格は82.6円と前年比20.9%の下落。営業利益率を押し上げる効果があった。これにより、売上高に占める燃料費の比率は14年度の19%から15年は15.4%と大幅に低下した。

一方、運転者の人材不足は深刻で、車両台数当たりの運転者人材比率は悪化傾向にあり、15年度は車両10台に対して8.3人の運転者が確保されたことを示す、83%となった。この影響を受け、稼働できる車両数は減少傾向にあり、実働率は悪化。全ト協では「再び燃料価格が上昇し、ローリー価格で1L当たり100円を超える状況になれば、トラック運送業には極めて深刻な影響がある」と予測している。

■2015年度版経営分析報告書(詳細)
http://www.jta.or.jp/keieikaizen/keiei/keiei_bunseki/img/H27%20keieibunseki_syaryou_chiiki.pdf