ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

CBRE調べ

首都圏のマルチ型物流施設、エリア間格差拡大

2017年4月28日 (金)
空白

拠点・施設CBREは4月28日、第1四半期(2017年1-3月)の大型マルチテナント型物流施設の市場動向を発表した。1-3月の首都圏の物流施設の空室率は6.5%と前期から0.3ポイント低下したが、圏央道エリアでは再び上昇しており、エリア間格差は一段と広がった。

東京ベイエリア・外環道エリア・国道16号エリアの内側3エリアは低下しているものの、圏央道エリアは19.8%と上昇した。今期は圏央道エリアで2棟の新規供給があったが、新たな需要を喚起するに至らず、いずれも空室を残して竣工。他のエリアでは、既存物件の空室消化が進んだ一方、新たに空室が発生した物件もみられた。

この結果、首都圏全体の新規需要は2万7000坪と、2015年第3四半期以来の低水準となった。竣工1年以上の物件の空室率は3.1%と依然として低水準ではあるものの、2015年第4四半期の1.2%を底に上昇してきている。

テナントの動きとしては、eコマースの拡張ニーズが引き続き旺盛で、今期は1万坪前後の大型成約や引き合いが複数みられた。

首都圏全体の実質賃料は1坪あたり4010円と、前期から微減。首都圏の中で最も賃料水準の低い圏央道エリアで物件が竣工したことが、平均を押し下げた。

2017年中に竣工予定の物件のうち、内側3エリアの物件はいずれもリーシングが順調に進んでいる。都心への良好な交通アクセスに加えて、周辺人口が多いため、雇用が確保しやすいことがテナント誘致に有利に働いている。一方、圏央道エリアでは今後も空室率が高い状態が続くと予想。

今期は、ESRが千葉県市川市に延床面積22万9000平方メートルの巨大施設を開発すると発表したほか、東急不動産がケネディクスと共同で、初めての物流施設を埼玉県春日部市に開発すると発表した。「物流施設開発に参入する企業が増え、物流マーケットの裾野はますます広がっている」(CBRE)。

近畿圏では、1棟が藤井寺市に竣工したもののテナントの内定には至らず、この影響で空室率が前期の11.4%から17.4%に大幅上昇した。

全体的にテナントの動きは低調で、2四半期続けて新規需要は低水準にとどまった。しかし、茨木市・高槻市といった内陸部へのニーズは強く、第2四半期以降に竣工する物件でテナントの内定が進んでいる。

また、湾岸部でも、実質賃料の顕著な低下により大型テナントの引き合いが出てきた。そのため、来期には近畿圏の新規需要は大きく増加する見通し。今期の実質賃料は1坪あたり3670円に微減。内陸部では賃料水準を維持する一方で、湾岸部では下落傾向が続いている。