ヤマト、長良川鉄道で初の｢無人｣貨客混載

話題ヤマト運輸は21日、長良川鉄道関駅と美並苅安駅の間で、同社の社員が同乗せずに乗客と宅急便を混載する無人の貨客混載を開始した。長良川鉄道とヤマト運輸は2017年11月、岐阜県関市の関駅と郡上市の美並苅安の区間で、鉄道を利用して乗客と宅急便を混載して運ぶ「客貨混載」（ヤマト運輸による貨客混載の呼称）の実証実験を行い、セールスドライバーの労働環境の改善、環境負荷の軽減といった効果検証や、乗客と貨物を混載する際の安全性の確保といった課題を検討。

この結果、セールスドライバーの1日の走行距離を24キロ削減し、運転時間の削減や夜間の業務の圧縮で1日あたり2時間の時間削減効果が得られ、CO2の排出量を抑えることで環境負荷の軽減にも一定の効果が見られた。また、乗客がいる状態でも作業の安全性を確保するメドが立ったことから、本格的な運用を開始することにした。

関駅を13時16分に出発し、美並苅安駅へ13時55分に到着する列車が対象で、ヤマト運輸が岐阜ベースから関駅まで荷物を輸送、駅係員が同駅で列車に宅急便を積載する。到着後はヤマト運輸のセールスドライバーに荷物を引き渡し、ヤマト運輸の集配車両で郡上市美並町の配達先へ荷物を届ける。

この取り組みにより、地域の鉄道路線網の安定的な維持を目指すほか、ヤマト運輸のセールスドライバーが集配地域に滞在できる時間が増えることを利用し、当日発送の集荷締め切り時間を延長できるようになる。

長良川鉄道は車両内の空きスペースで宅急便を輸送することにより、新たな収入源を確保する。