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帝国データバンク調べ

運輸・通信業の借入金利1.27%、10年で大幅低下

2018年11月8日 (木)

話題帝国データバンクの調べによると、国内企業の2017年度の借入金利が10年連続で低下したことがわかった。運輸・通信業の平均金利は1.27%で16年度から0.13ポイント、08年度からは0.95%低下し、全業種平均を上回る下げ幅を記録した。

17年度の全国の平均借入金利は1.33%となり、前年度比で0.09P、10年前の08年度比では0.82Pの低下となった。借入金利は07年度の2.21%をピークに、10年連続で低下している。

リーマン・ショック後の09年度から3年連続で0.1P強の低下を経て、12年度からは0.1P以下の低下幅となっていたが、16年度からは日本銀行主導の金利政策などによって再び0.1Pに迫る低下幅が続いている。米国の金利引き上げや株高に伴い長期金利(新発10年国債)が上昇傾向にあるなか、企業の借入金利は引き続き低水準で推移している。

都道府県別に見ると、最も借入金利が低かったのは「愛知県」の1.10%(前年度比-0.11P)。以下、「香川県」の1.11%(-0.1P)、「岐阜県」の1.17%(-0.13P)と続く。「名古屋金利」という言葉で知られる通り、第二地銀、多数の信用金庫がひしめく中部の2県で低金利が顕著となるほか、5番目の「大阪府」までいずれも前年度比で0.1P以上の低下となるなど、金利競争が続いている。

一方、金利が高かったのは「秋田県」(1.77%、-0.07P)で、「山形県」(1.65%、-0.1P)、「岩手県」(1.62%、-0.11P)、「青森県」(1.54%、-0.12P)と東北地方の借入金利が、前回調査同に高い傾向が見られた。最も金利が高い秋田県と最も低い愛知県では、0.67Pの開きがあり、人口動態や所在する金融機関数によって地域ごとの金利差に大きな開きが見られた。

業種別に見ると、最も平均借入金利が低いのは「製造業」(1.21%、-0.13P)と「小売業」(1.21%、-09P)で、最も高いのは「不動産業」(1.48%、プラス0.05P)となった。不動産業は7業種の中で唯一借入金利が上昇し、06年度以降の推移でみても、他業種と比べ借入金利の変動幅が大きい。

帝国データバンクでは「不適切な投資用ローン問題に揺れる不動産業で、他業種と異なり借入金利の上昇が見られ、特徴的な金利動向を辿っている実態も見られた。日銀の金利政策に大きな変更はなく、引き続き借入金利は低水準で推移すると見られるが、米国の利上げなどもあり、数年のうちに国内企業の借入金利動向にも変化が見られる可能性も否定できないだろう」とまとめている。