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JICA、バヌアツの物流インフラ整備へ円借款50億円

2012年6月18日 (月)

話題国際協力機構(JICA)はこのほど、バヌアツ政府との間で同国の海運拠点「ポートビラ港」の「国際多目的埠頭整備事業」を対象として、49億4500万円を限度とする円借款貸付契約に調印したと発表した。

 

同事業は、バヌアツの首都にあるポートビラ港に新たな国際貨物専用埠頭を建設し、急増している輸入を中心とした国際貨物や観光客船の旅客への対応を強化、貨物の滞留の緩和、物流の改善を図る狙いで実施されるもの。

 

貸付資金は桟橋やコンテナヤードなどの建設に関連する土木工事、荷捌き棟などの建築工事、入札補助・事業全体管理・施工監理といったコンサルティング・サービス費用などに充てられる。

 
バヌアツは南太平洋の人口24万人の小国だが、2003年以降は低成長を脱して目覚ましい経済成長を遂げ、2004年から2010年にかけてGDPを3倍弱に拡大。かつては輸入超過による赤字を外国からの援助で補てんしていたが、1997年半ばに大規模な行政・経済改革を開始、特に観光振興を積極的に推進した結果、2000年には10万5000人だった観光客が2010年には23万8000人と2倍以上に増加した。

 

しかし、経済成長を支えるインフラの整備が追いつかず、特に運輸交通インフラの整備の遅れは観光客や物流の増加など、さらなる経済成長を図る上での大きな障害となっている。特にポートビラ港は、同国の輸入額の86%、輸出額の25%を占める同国の国際貿易拠点だが、経済成長に合わせて年々増加する輸入貨物に対応できなくなっている状況にあった。

 

観光客の急増に伴い、同港に寄港する客船の数も3倍以上に急増しており、観光客船の寄港中は埠頭が一日占拠され、荷役作業が中断を余儀なくされ、貨物船は沖待ちせざるを得ない状況になっている。この結果、貨物が1か月近く埠頭で滞留するなど、物流の大きな障害となり、経済的にも大きな損失を与えている。

 

今回の事業に伴う貨物需要予測では、2021年には同港全体で取り扱う国際コンテナ貨物の量が2万TEUを超える見込みで、国際貨物専用埠頭を整備することで貨物量への対応が可能になるとしている。