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明治、「アイスに賞味期限」発表2日前に物流へ通知

2020年1月22日 (水)

(出所:日本アイスクリーム協会)

フード明治は22日、2020年6月から「明治エッセルスーパーカップ」などの市販アイスクリームに、最長2年間の賞味期限を表示する、と発表した。21年4月をメドにすべての市販アイスクリームに適用する方針だが、流通・物流部門にこの決定が伝わったのは発表のわずか2日前(1月21日)のことで、物流事業者の中には「本当に食の安心・安全に必要なことなのか」「物流現場への負荷が高まり、廃棄の増大にもつながりかねない」と驚きをもって受け止める声も上がる。

アイスクリームは、消費者庁の加工食品品質表示基準に「品質の変化が極めて少ないもの」として分類され、賞味期限の表示を省略することが法律で認められている。にもかかわらず、同社が「お客さまからの『食の安心』への高まる期待にお応え」するために賞味期限の表示に踏み切るのはなぜか。

19年11月に同社が実施した消費者調査で、「食品を選ぶ際に重視する点」として「安心して食べられる」が「おいしい」に次ぐ63%の選択率を得たのが、その理由だという。

▲明治が実施した消費者調査の結果(出所:明治)

しかし、食品業界は物流負荷軽減と食品ロス削減を目的として、賞味期限を延長したり「年月日」表示を「年月」表示に緩和することに取り組んだりしてきたのではなかったか。食品流通の納品慣習である「3分の1ルール」も、国と業界が協議を重ね、紆余曲折を経てようやく見直しが進み始めたところだ。

そもそも、アイスクリームに賞味期限は必要なのか。日本アイスクリーム協会がメーカーに示す衛生管理の手引書には、アイスクリームに関する細かな基準が定められているが、賞味期限については言及されていない。それでも同社が表示に踏み切ろうとするのは、本当に「食の安全」に必要な措置なのだろうか。

また、物流の負荷増大も懸念されるが、取材に対し同社は「2日前に(流通・物流事業者に)決定を伝えたところで、まだ反応は把握しきれていない」と答えた。アイスクリームを取り扱うある食品物流事業者は、「アイスクリームに関しては、ロット管理を基本としている。賞味期限の管理はまったくの別物だ」と、明治の判断に疑問を呈する。

物流の観点からは、「時代の流れに逆行する」ともいえるアイスクリームへの賞味期限表示。競合他社が追随する可能性もあり、物流効率の向上に取り組む業界への波紋を広げそうだ。