国際デジタルコンテナシッピング協会(DCSA、蘭)は29日、コンテナ貨物追跡の標準化モデルを確立し、同協会のウェブサイトで提供を開始したことを発表した。
MSC、マースク、CMA CGM、ハパックロイド、ONE、エバーグリーン、ヤンミン、HMM、ZIM――の9社で構成されるDSCAは、各社が開発・運用しているコンテナ輸送の仕組みをデジタル化・標準化させることを目的に2019年4月に設立された中立的な組織で、今回発表した「DCSA T&T(トラック&トレース)スタンダード」は、出荷前、荷積み前、洋上、荷卸し後、輸送後――の5つの段階にわたってコンテナを追跡できる。
このシステムは、昨年DCSAが定義した輸送プロセスの共通認識「インダストリープループリント」に基づいて作成されており、国連CEFACT基準にも適合。複数コンテナ船社にまたがる輸送を可視化し、輸送計画の効率化に貢献するだけでなく、サプライチェーンに関わる全ての利害関係者に円滑なコミュニケーションを提供するという。
DCSAのトーマスバッゲCEOは、「輸送に係る煩雑さとコストを軽減し、サプライチェーンを適切に管理する『T&Tスタンダード』を導入できることをうれしく思う。顧客に貨物追跡情報を提供している事業者は、データ統合の簡略化によって追跡情報の質を高められる」とコメント。
DCSAの監査役でMSCのデジタル情報責任者であるアンドレシンハ氏は、「DCSAのメンバーは、世界のコンテナ輸送市場の70%を占めており、今回発表した貨物追跡の標準化は貿易全体の大きな進歩といえる。2020年以降のコンテナ輸送は、デジタル化と互換性の大きな恩恵を受けることができるだろう」と自信をのぞかせた。