ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

北極海開通期間が過去最長、貨物船通航申請1003隻

2020年12月9日 (水)

国際ウェザーニューズ(千葉市美浜区)は9日、北極海の海氷が1979年の観測開始以降、2番目に小さい面積となり、ロシア側の北極海航路の開通期間が過去最長となる88日間に達したと発表した。

北極海航路の開通期間と2020年9月13日(年間最小日)の海氷分(左)北東航路、北西航路(出所:ウェザーニューズ)

同社グローバルアイスセンターが2020年の北極海の海氷情報をまとめた結果、今夏の記録的な暑さによって、ロシア近海を中心とした海域の海氷が例年以上に顕著に融解し、9月に観測された北極海海氷域の年間最小値は355万平方キロとなったことがわかった。

今シーズンの北極海航路の開通期間は、北東航路(ロシア側)で88日間と過去最長を記録した一方、北西航路(カナダ側)の開通はなかった。アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路を選択することで、輸送費用とCO2の排出量を削減できることから、20年は世界で1003隻の貨物船による通航申請がロシア当局にあったという。

北極海航路では近年、北極海で生産された液化天然ガスのLNG船による輸送が活発になっているほか、「定常的な利用」も進んでいる。アジアから欧州へ航行する場合、北極海航路の航路距離はスエズ運河経由の3分の2、喜望峰経由のおよそ半分となる。

同社は2011年から北極海を航行する船舶の安全運航支援サービスを提供しているが、今後はCO2排出量削減の支援にも注力する方針。

▲海氷観測をミッションとする超小型衛星「WNISAT-1R」で撮影された、北極海ヴィルキツキー海峡周辺の海氷状況(出所:ウェザーニューズ)