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DHL、ベイクルーズ向け入出庫管理にRFID投入

2020年12月10日 (木)

サービス・商品DHLサプライチェーン(東京都品川区)は10日、同社の荷主でアパレルブランドを展開するベイクルーズ向けの物流拠点「柏沼南ロジスティクスセンター」(千葉県柏市)に、RFIDを活用した入出庫管理を導入したと発表した。

ベイクルーズの掲げるオムニチャネルの目標に対応するため、サプライチェーン全体の効率化、可視化を図るもので、2016年から取り組んできたベイクルーズの物流業務にデジタルソリューションを組み込むことで、向こう数年のうちにデータ解析、IoT、ロボティクス、自動化技術などの導入を検討し、在庫管理の最適化につなげる。

DHLサプライチェーンでは、ベイクルーズの「オムニチャネル化による成長戦略」に対応するため、4拠点に分かれていたベイクルーズの物流業務を16年に柏沼南ロジスティクスセンターの3万平方メートルに集約し、一拠点ですべての販売在庫を保管している。

同拠点では倉庫管理システム(WMS)を活用し、ベイクルーズの店舗向け、EC用在庫の一元管理と商品供給を実施。拠点統合後、効率化を通じて入出荷能力は倍増し、正確で迅速な出荷処理が整ったことで、RFIDの活用に踏み切る。これにより、入出荷データをリアルタイムで取得し、入出荷状況を把握。全体的な効率化、人的ミスの削減と在庫管理の精度向上を図る。

ベイクルーズでは「倉庫を統合し、効率化のためのツールやプロセスを導入。さまざまな困難がありながらもDHLとパートナーシップを深め改革を行ってきた。4年で倉庫の処理能力、オンライン売上は急激に増加している。フルフィルメントも、サービスレベルが可視化されたことに加え、主要業績指標(KPI)の一つである出荷物量も統合前の6倍に向上した。社会環境が急激に変化して行く中、店舗での販売とECでの販売、そこに物流を融合させた企業しか生き残れない」と話している。

高付加価値・高コスト・高水準も大切

国内のハイブランドが次々と事業縮小や経営統合による合理化に甘んじる近年である。当然ながら事業の下半身にあたる物流機能も販売動向や拠点戦略の変更に応じた動きとなるわけで、多くは拠点廃止や内製から委託への変更などでコスト圧縮の助勢としている。

同業他社に比して決して安くはないDHLの各サービスではあるが、その内容には国内個配事業者をはじめとする物流各社とは一線を画す高品質の貫徹が認められる。荷主の中には「それはわかっているし、使いたいのだが…」と言葉を切る企業も少なくないはずだ。ひとえに「いいけど高い」を受容できるコスト枠がないからだろうし、実務的には現状でも大きな支障がないことも事実だ。

合理的や効率化、ひいては徹底したコスト圧縮。しかしながら、世の中の経営者が口にしていた、「高い安いばかりではない」や「いい値段するんだけど満足だ」のような余裕や余禄のようなものが消つつある今、内心でほっとするニュースだと感じた次第だ。(企画編集委員・永田利紀)