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物流施設向け統合管理・最適化システム「GWES」に業界が熱い視線

GROUND、「最適化」システムで物流を変える

2021年6月28日 (月)

GROUNDが独自開発の物流ソリューションを紹介した関西物流展のブース

話題GROUND(グラウンド、東京都江東区)が15日に発表した、AI(人工知能)を活用した物流施設向けの統合管理・最適化システム「GWES」(ジーダブルイーエス)が、物流関連の業界で大きな話題となっている。同社は発表翌日の16日から大阪で3日間開催された「第2回関西物流展」の出展ブースを、GWESを披露する絶好の場とするとともに、同システムを創業以来の開発技術の集大成と位置づけ、強力な営業体制を構築していく意思を鮮明にした。GROUNDの物流ソリューションは、「統合管理」から「最適化」へと、新たな次元に踏み出すことになる。

物流現場を統合管理するだけではなく、『最適化』することがGWESの強みだ。GROUNDの宮田啓友社長

「GWES」を使えば画面上でリアルに作業員やロボット、荷物の位置と動きを確認できる(出所:GROUND)

第2回関西物流展の特別セミナー会場で、GROUNDの宮田啓友社長は、詰めかけた100人近い聴講者を前に、GWES開発の意義を強調した。黒を基調にひときわ目を引く出展ブースでは、GWESの機能モジュールの一部である作業状況を可視化したり、ピッキング作業の順序や移動距離を最適化したりする様子を紹介した。

また、マテハンやロボットなどのハードウェアと、倉庫管理システム(WMS)や倉庫制御システム(WCS)などのソフトウェアがシームレスに連携するイメージを持ってもらうため、自律型協働ロボット「PEER」のデモンストレーションエリアも設けた。このメーカーやソリューションを問わず連携させ、統合管理する機能と「最適化」こそが、GWESが他社を含めた既存の物流ソリューションとの圧倒的な差別化を図る要素なのだ。

GWES(GROUND Warehouse Execution System)は、「物流施設内の状況の可視化・分析」「業務自動化・リソース最適化」「物流施設内のハードウェア・ソフトウェアの統合管理」「物流施設内の地図のデジタル化」の4つの役割を果たす計7つのモジュールで構成する倉庫実行システムだ。倉庫実行システムは、欧米が先行しており、まだ日本国内では珍しく、今後国内での需要増が見込まれる。

■強みは「他のハード・ソフトと連携できる汎用性・拡張性」

GROUNDは、2020年9月末に提供を始めたAI物流ソフトウェア「DyAS」(ディアス)をベースにGWESを開発し、汎用性・拡張性の高いパッケージシステムとして21年8月2日から提供を開始する。将来的には、DyASをGWESへと発展的に統合し、営業面では直接販売だけでなく、パートナーシップを通じた代理店販売にも拡張することで、より効率的でスピーディーな市場展開を推進する。販売から導入、保守までを一貫して支援する体制は今後も変わらないという。

「GWES」を使えば画面上でリアルに作業員やロボット、荷物の位置と動きを確認できる(出所:GROUND)

同社の宮田社長は15日の記者発表で、「DyASのノウハウをベースに、メーカーを問わずロボットやマテハンなどのハードウェアや、WMSなどのソフトウェアと連携できる汎用性・拡張性の高さを実現することで、物流デジタルトランスフォーメーション(DX)を強く意識したシステムに仕上げた」と説明し、物流現場における施設全体の最適化と可視化を実現する、としている。物流現場の全体を統括する指揮者の役割を果たしながら、将来を見据えて段階的に導入されるであろうマテハン・ロボットなどのハードウェアへの対応、そして物流施設のテクノロジーの進化に合わせて柔軟に対応できる基盤がGWESである、というわけだ。

GWESの構成要素(出所:GROUND)

GWESは、「全体像」を示す図からも分かるように、「業務データ統合モジュール」を扇の要と位置づけ、最適化と可視化を実現するイメージで物流現場を管理する。ポイントは、この「最適化」の対象は、現場「全体」であるところだ。多くの物流現場で進められている物流DXの取り組みには、物流現場で課題になっている部分にロボットやAGV(無人搬送車)、WMSなどのシステムを導入する「部分最適化」にとどまっているケースも少なくない。しかし、それは一時的な解決にはなっても、物流の全工程、あるいは物流施設全体を最適に運用することには貢献しない。現場の作業工程は、荷物の搬入から仕分け、積み込み、送り出しといった一連の流れのなかで、互いに連携しているからだ。

■関西物流展で見えた「したたかな戦略」

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う流通環境の変化が、物流業界にも決定的な変革を要請している現状で、倉庫など現場全体の最適化はまさに「待ったなし」のテーマだ。こうした環境下だからこそ、GROUNDの新システムは強い説得力があるのであり、国内でも有数の物流関係者が足を運ぶ関西物流展を事実上のお披露目の場に選んだのも、GWESの知名度を一気に高めるしたたかな戦略だった。

GROUNDは8月2日からGWESの営業展開を本格化させるが、6月30日付のトラスコ中山との資本業務提携は、今後の事業展開を見据えた節目となる。資本提携に伴う第三者割当増資で調達する5億円は、GWESの開発や営業展開への原資とする予定で、同社が2015年の創業時より培ってきた究極の物流ソリューションがいよいよ動き出す。

■物流ロボット見学会、要望受け7月も追加開催へ

「物流ロボット見学会」のデモンストレーションの様子(出所:GROUND)

GROUNDは、同社が提供する物流ソリューションの実機を見学できる「物流ロボット見学会」を7月にも開催することを決定。希望すればGWESの説明も受けられるという。このイベントは、「自社が運営する物流センターで効果が見込めるのか、実機やデモンストレーションを見ながら確認してみたい」との要望に応えるもので、ショールーム兼R&Dセンター「playGROUND」(プレイグラウンド)での実地見学と、Zoomを用いたオンライン見学に対応する。GROUNDが共同開発した「PEER」(ピア)をはじめ、他社製品の「Butler」(バトラー)、「OASIS」(オアシス)などのロボットを用いたピッキングを体験できる。

■ショールーム見学会
開催日:毎週 火・木曜日(7月29日まで)
時間枠:10時、13時、15時30分(各回2時間)
会場:playGROUND(千葉県市川市高谷新町6-4 DPL市川2階)

■オンライン見学会
開催日:毎週 火・水・木・金曜日(7月30日まで)
時間枠:10時、11時、13時、14時、15時、16時(各回1時間)

■詳細・申し込みフォーム
https://forms.gle/Wznyj7xeQgJJW46c9