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HWエレクトロが小型商用EV「エレモ」を発売

実証実験が握る「宅配事業へのEV普及」のカギ

2021年7月14日 (水)

ロジスティクスHWエレクトロ(東京都江東区)が、多用途小型商用電気自動車(EV)「エレモ」を7月24日に発売する。それに合わせて、JFTD花キューピット(東京都品川区)と連携し、生花を個人宅などへ配達する実証実験を行う。消費スタイルの多様化に、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛の動きが重なり、宅配需要は空前の盛り上がりを見せる。今回のエレモによる生花配達の実証実験は、宅配サービス事業者が環境負荷低減などSDGsを意識した経営を推進する機会となりそうだ。

エレモは、ことし4月にナンバープレート(自動車登録)を小型商用EVとして国内で初めて取得したことで、本格的な市場展開をスタートさせる。荷室のカスタマイズが可能な仕様とするなど、商用車ならではの便利さを追求。インターネットを介した運用管理やアプリとの連携機能などのIoT技術も導入し、災害時にはIoT機能付きエマージェンシーツールとして活用できる利点も前面に出す。

HWエレクトロは、エレモを小型商用EVとしてビジネスに貢献できる領域の一つとして、配送事業に着目。全国4300の生花店が加盟するJFTD花キューピットとの連携が実現した。JFTD花キューピットは、顧客に近い店から生花を届けることで、配送トラックの稼働距離を短縮でき、CO2排出量を減らす取り組みを推進するなど、環境配慮を意識した事業運営に取り組んでいる。HWエレクトロは、エレモの実証実験のパートナーとして最適と判断したようだ。

▲100%EVとなる商用車「エレモ」

宅配ニーズ全盛のなか、こうした生花店をはじめ、商用車での配送ビジネスを展開する企業が増えている。新規で宅配事業に参入する企業も目立ち始めた。こうした動きが広がるなかで、自動車関連業界も熱い視線を送っている。なかでもEVは、環境負荷低減の観点からも、高い注目を集める存在であることは間違いない。

EVの商用レベルでの普及には、充電施設の整備と自動車のスペック向上の両立が不可欠という。政府も、2050年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガス排出を実質ゼロとする目標を掲げる。今回の実証実験は、商用EVの勝機を占う材料を提供することになる。成功すれば、宅配事業者と自動車関連業界の双方に商機が到来し、商用EV普及にも弾みがつく。(編集部・清水直樹)