ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

配車計画システム特集

配車計画「属人化」への危機感浮き彫りに

2021年8月23日 (月)

話題LOGISTICS TODAY編集部がことし7月12日から16日にかけて、物流企業や荷主企業を中心とする読者に対して実施した「配車計画システムに関する実態調査」(有効回答数904件、回答率31.2%)の結果、物流企業の基本業務であり、企業の利益を左右する重要な要素である「配車計画業務」において、回答者の6割強が「属人化」に、5割弱が「データ入力の手間」に課題を感じていることが分かった。(編集部特別取材班)

配車計画業務の「属人化」への危機感が浮き彫りに

今回の調査における回答者の業種別の内訳は、荷主企業が22.2%、3PL・倉庫業が35.7%、運送業が19.8%だった。配車計画業務について課題に感じる項目について聞いたところ、「配車計画業務の属人化」に課題を感じる企業が全体の64.9%を占めた。次いで、「データ入力の手間を削減したい」(48.2%)、「配送コストに配慮した配車計画になっていない」(37.7%)、「車両位置をリアルタイムに把握できない」(30.7%)となった。

物流会社が効率的に利益を上げるための生命線である配車計画については、熟練したベテランの担当者が長年の経験に基づく「勘どころ」を頼りに策定している現場も少なくない。しかしながら、こうした業務の属人化が現場の問題点として浮上しているという、何とも皮肉な結果となった。現場が求めているのは、後継者育成を含めた世代交代なのだろう。次いで多かった回答からは、配車計画業務の効率化が必要であるとの課題認識が読み取れる。

■配車計画業務における課題

業種による配車計画の「課題点」の違いが明確に

この設問に対する回答結果を業種別に分析すると、立場の違いが明確になってくる。「ルートを改善する手間がかかりすぎている」との回答は、荷主企業が27.3%、運送企業が25.9%だったのに対し、3PL・倉庫企業は11.8%にとどまった。

荷物の配送を委託する立場の荷主企業に対し、3PL・倉庫企業や運送企業は荷主からの要求に応じて配送ルートに知恵を絞る立場にある。こうした取引上の構造を考慮すると、「荷主(取引先)の要求に短時間で対応できない」とした回答が、荷主企業で9.1%と少なかったのに対し、3PL・倉庫企業で29.4%、運送企業22.2%と2倍以上の回答数となったのは当然だろう。

さらに注目なのは、「就労に関する法令に配慮した配車計画になっていない」の回答分布だ。荷主企業が9.1%、3PL・倉庫業が19.6%だったのに対して、運送業は40.7%に達しており、配送の当事者である運送業の課題認識はやはりドライバーへの負担軽減策であることを色濃く示す結果となった。

▲業種によって課題認識が明確に異なる結果に

配車計画システムに求める改善点は「積み下ろし時間」への配慮

配車計画システムについての不満点に関する設問では、「積み下ろしにかかる時間が不正確・不十分」との回答が38%で最多だった。続いて、「帰り便に積み荷を手配できない、あるいは考慮できない」が32.6%、「作業ごとの精度を高める機能がない・不十分」と「急な計画に変更に対応できない」がともに31%、「本当に提案されたルートが正しいのか信用できない」が30.2%となった。

ただし、現時点で配車計画システムを「導入済み」と答えた企業に限定すると、いずれの不満点も全体の数値を下回っており、配車計画システムに対するマイナスのイメージが、実態よりも先行していることをうかがわせる。また、最も多くの回答を集めた選択肢でも全体の半数を下回る38%の支持率となっており、依然としてシステムベンダー側に改善を求める声はあるものの、一定の満足感は得られているものと思われる。

■配車計画システムについての不満な点

配車計画システムは他の機能との連携が不可欠

▲配車計画システムに連携してほしい機能

配車計画システムについて配車計画以外で連携してほしい機能を問うた設問では、「配送・運行指示書」を50.4%と過半数が挙げたほか、48.8%が「運行管理」と回答。「車両管理」「動態管理・位置把握」との回答もそれぞれ40.3%と高水準だった。配車計画の策定には、運行管理や車両管理の要素が密接に関係していることを考慮すると、こうした連携機能を求める声の多さも理解できる。

配車計画システムの導入状況に関する設問では、現時点で「導入済み」が13.2%、「導入を検討している」が12.4%、「導入していない」が45%だった。「導入していない」が半数近い回答となったが、新たに導入を検討する可能性について聞いた設問で「ない」と回答したのは31%となっており、現時点で導入していない企業でも、「属人化」や「データ入力の手間の削減」といった課題解決に向けて、システムの導入を検討している実態が明らかになった。

次回は、物流関連企業が関心のある配車計画システムについて分析していく。2021年8月30日公開、「配車計画システム関心度ランキングTOP40」に続く。

■TMS特集 -配車計画システム編-