話題LOGISTICS TODAY編集部がことし7月12日から16日にかけて、物流企業や荷主企業を中心とする読者に対して実施した「配車計画システムに関する実態調査」(有効回答数904件、回答率31.2%)。物流企業の基本業務であり、企業の利益を左右する要素でもある「配車計画業務」において、回答者の6割強が「属人化」に、5割弱が「データ入力の手間」にそれぞれ課題を抱いていることが分かった。
調査から浮き彫りになったのは、物流現場がこうした課題の解決を図るために、配車計画機能に限定した「部分最適」よりも、ほかのシステムと連携して業務改善につなげられる「全体最適」を求めている実態だった。(編集部特別取材班)
やや消極的な「配車計画システム」導入意欲
消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う宅配ニーズの高まりなどで、物流現場の取扱荷物量は増加の一途をたどる。配車計画業務は、こうした現場作業を少しでもスムーズで効率よく切り盛りする「技」であるが故に、属人化から脱却できない「職人芸」になっているのが実情だ。
本来であれば、こうした課題が明確であるならば、それを改善できるシステムが最適解であるはずだ。今回の調査で物流企業や荷主企業に聞いた「配車計画システムの関心度」で選択肢として選んだ71種類のシステムの多くは、各社の強みとする要素技術を水平展開したものであり、それぞれ一定の支持を得ていることは今回の調査でも明らかになっている。
しかしながら、配車計画システムの導入については、必ずしも積極的な回答が多数派だったわけではない。「導入済み」は13.2%、「導入を検討している」も12.4%にとどまった。現時点で未導入でも将来的に前向きに検討するとの回答もあったが、LOGISTICS TODAY編集部が実施したほかのシステムにかかる調査内容と比べると、やや物足りない印象なのが実感だ。ここに、現場が求めるシステムの「全体最適化」の発想があるのではないだろうか。
求めるのは配車計画以外のシステムとの「連携」
印象的なのが、今回の調査における「関心度」の設問で上位を占めたシステムが、その企業の得意とするほかの機能との連携を強みと位置付けていることだ。配送先までの最適なルートや車両、ドライバーの配置を定める配車計画機能は、物流現場を含めたサプライチェーン全体の動きを司る「扇の要」の役割を果たす。言い換えれば、配車計画を効率化するには関連するほかのプロセスについても、同様に最適化を図らなければ完成しないことを意味する。
配車計画システムについて、配車計画以外で連携してほしい機能を問うた設問の回答が、それを象徴している。「配送・運行指示書」を50.4%と過半数が挙げたほか、48.8%が「運行管理」と回答。「車両管理」「動態管理・位置把握」との回答もそれぞれ40.3%と高水準だった。配車計画の策定には、運行管理や車両管理の要素が密接に関係していることを考慮すると、こうした連携機能を求める声の多さも理解できるだろう。
現場効率化の秘策として、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化が叫ばれて久しい。今回の調査で、配車計画のような物流システムにおける中枢をなす機能のシステムによる効率化には、こうした多機能との連携による「全体最適化」の視点が不可欠であることが、強く印象付けられた格好だ。