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NTTロジスコの物流DXを推進

配車業務の属人化を解消する「ハコベルコネクト」

2021年8月27日 (金)

話題トラック輸送事業において配車は、売上を確定し利益をコントロールする、ビジネスの肝となる業務である。だが、多くの場合、配車業務の成果は配車担当者の技量に委ねられている。優秀な配車担当者は大きな売上と利益を生み出すが、それはすなわち、トラック輸送事業の肝を属人化させていることにほかならない。そして、属人化は配車業務だけではなく、輸配送の管理業務全般に及んでいることが多い。

トラック輸送事業に関わる多くの企業が課題としている、輸配送業務の属人化に対し、どのように立ち向かえば良いのか。例えばNTTロジスコ(東京都大田区)は、ラクスルの配車管理システム「ハコベルコネクト」により、配車業務の標準化を実現した上で、輸配送計画に関わる事務作業の所要時間を75%削減し、車両削減と輸送方法の見直しによって輸配送コストを25%削減した。この事例をひもとき、考えていこう。(坂田良平)

悩みの種は人材の不足と高齢化

NTTロジスコは全国に28拠点、19万坪の倉庫を構えるNTTグループ唯一の物流企業である。NTTグループ企業の輸配送だけではなく、「ICT(検査・キッティング・再生利活用)」「医療機器(検査・洗浄・共同配送)」「エンターテイメント」「美容・健康」の四つの柱を持つ、3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業を主としている。

他の物流企業同様、NTTロジスコも人材不足に悩んでいた。特に、配車担当者を含む、輸配送業務全般における人材不足は深刻だという。ICT事業本部第一ICTサービス部の光永和樹主査は、危機感を感じていた。

▲輸配送業務の属人化に頭を悩ませた過去を語る光永氏

「輸配送業務担当者は、知識と経験を必要とします。しかし、豊かなスキルを備えた人材を採用することは、簡単ではありません」(光永主査)

人材不足は、特に地方の物流センターほど深刻だった。加えて、担当者の高齢化も、頭の痛い課題だ。

同社は自社車両を保有しない利用運送業として、協力会社や路線便を利用し、商品の輸配送を実施している。例えば、「A社の商品をB県C市まで運ぶのであれば、2トン車で運べば良い」といった、基本となるパターンはある。だが、いざ複数の商品とともに運ぶとなると、基本パターンにとらわれず、一歩踏み込んだ最適化を目指すことができていなかった。

光永氏は、「担当者が30分間熟考すれば、より最適な配車計画を立案できるかもしれません。しかし日々数百件の配車計画を組み上げなければならない現場に、もう一歩踏み込んだ最適化を目指して熟考をしている余裕はありません」と振り返る。

「輸送手段」を最適化するハコベルコネクト

NTTロジスコは「私たちは、お客様の物流を進化させ続け、お客様と社会に美しく透明な流れをつくる会社です」という経営ビジョンの実現のため、ICTを利用して情報流をつなぎ、荷主企業に対して物流の見える化を進めている。

さまざまなDXに着手しているが、その一つとして2020年に導入したのが、ハコベルが提供する配車管理システムのハコベルコネクトだった。荷主とドライバーをマッチングするハコベル事業で培ったノウハウを知財化したTMS(Transportation Management System=輸配送管理システム)で、他社のTMSとは異なるユニークな存在である。

多くのTMSでは、配送ルートや商品の積み付けに対する計画立案を主機能とする自動配車を提供するが、ハコベルコネクトが提供するのは「輸送手段の最適化」を図る配車計画機能である。

▲NTTロジスコの平和島物流センター

自社トラック、協力会社、路線便など複数のトラック輸送手段に対し、ハコベルコネクトは、利用者が配車に求めるターゲットに従い、例えば物流コスト、例えば配送時間などをキーに、輸送手段の最適化を算出するのだ。NTTロジスコは中核3拠点にハコベルコネクトを導入することで、配車依頼から納品に至る一連の情報を、ウェブ上で一元管理できるようになった。

続いて、NTTロジスコはハコベルとタッグを組み、「輸配送計画自動化システム」の共同開発に乗り出した。2021年1月に実施した実証実験では、冒頭に紹介した通り、事務作業の所要時間を75%削減、輸配送コストを25%削減するなど、極めて良好な結果を得た。

▲NTTロジスコにおけるコスト削減効果

NTTロジスコグループで物流センターを運営するNTTロジスコサービスの、平和島物流センターの山口裕靖グループリーダーは、「現場担当者によって、配車計画や配車指示にはムラが生じていました。しかし、ハコベルコネクトを利用することで、ムラを解消し、誰が行っても同じ結果を出せるようになりました」と評価する。

▲現場の視点から業務改善の手応えを語る山口氏

山口氏は、「ハコベルコネクトを導入してから、新人の育成スピードが変わりました」と、人材育成面での効果を実感している。輸配送担当者として身につけるべきノウハウが、ハコベルコネクトを介することで明確になったのだ。NTTロジスコは、ハコベルコネクトと輸配送計画自動化システムを用いることで、物流コストの削減と、属人化していた業務の標準化を実現した。

物流DXをサポートする「業務診断」の存在

▲データ活用の状況について語る小板橋氏

NTTロジスコサービス本部サービス開発部の小板橋典通主査は、同社の輸配送担当者たちが実施した輸配送計画や配車などの実績が、データとして活用できていないことに課題を感じていたという。しかしハコベルコネクトは、NTTロジスコにおける輸配送業務のデジタル化を実現するとともに、輸配送業務のデータ収集も可能とし、小板橋氏が希望していたデータ活用への足がかりを築いた。

これは取りも直さずハコベルが、NTTロジスコが物流DX(デジタル・トランスフォーメーション)へと進むためのサポートを行ったことになる。偶然の産物ではない。

▲ハコベルコネクトの真価を語る齋藤氏

「物流DXにつながる、業務のデジタル化を目指しましょう──。これこそが、ハコベルコネクトが顧客に対して提供できる価値です」と、ハコベル事業本部ソリューション推進部パートナーの齋藤祐介氏は語る。

もちろん、物流DXはハコベルコネクトを導入すればすぐに達成できるほど簡単なものではない。DX、すなわち業務をデジタルに変革(トランスフォーメーション)させるためには、システム導入に加え、対象業務の見直しが必要となる。そのためハコベルは、新たな顧客からハコベルコネクトの導入希望があった場合、まずは「業務診断」から開始する。

ハコベル担当者が「代行できるレベル」まで診断

「業務診断では、業務の形式知化(主観的な知識の言語化)を目指し、業務内容を徹底的に確認します」と、齋藤氏は説明する。例えば、配車業務が対象となる場合は、ハコベルの専任担当者が、業務を代行できるレベルまで診断を行うそうだ。

また、ハコベルコネクト導入後は、専任担当者が顧客の利用状況を確認し、システム利用に対する習熟度を分析・把握することで、顧客が必要としているフォローとサポートを、随時実施するという。

▲ハコベルコネクト導入前は、付せんやメモであふれていたデスク周りも片付いた

DXに向けた取り組みは、システムを導入すれば終わりではない。むしろ導入はDXのスタートに過ぎず、その後の運用こそがDXの成否を決める。ハコベルは、システムを売って終わりではなく、その後の顧客におけるDXの推進にも手を抜かない。

“DXブーム”が到来している今、ちまたにはシステムを売りたいがために、「ウチのシステムを導入しさえすれば、DX対策はバッチリです」などとうたうベンダーも存在するだが、ハコベルは違う。

顧客の物流DX推進に寄り添うことの大切さをきちんと理解し、きちんと地に足の着いたフォローを行う。言うなればハコベルは、物流DXにおける伴走できるパートナーなのだ。

もし、あなたが今の輸配送業務に課題を感じ、そして物流DXに対し、真剣に取り組みたいと考えているのであれば、ハコベルに相談してみると良い。それはきっと、物流DXへの正しい一歩となるはずだから。

「ハコベル」サービスサイト

■TMS特集 -配車計画システム編-