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スマートドライブとパナ、ETC2.0で運行管理

2021年9月7日 (火)

ETC2.0 Fleet(フリート)サービスの画面(出所:スマートドライブ)

サービス・商品クラウド型車両管理サービスを提供するスマートドライブ(東京都千代田区)とパナソニックは7日、運送会社などの物流企業向けに新たな運行管理サービス「ETC2.0 Fleet(フリート)サービス」の提供を開始した。両社は6月29日に、年内の共同実証事業の開始を発表していた。

車両の位置と状態を地図上に表示(出所:スマートドライブ)

既に普及しているETC2.0車載器と、高速道路や国道などに計4100基ある路側機を連携させることで、車両の位置把握や安全運転管理、運行履歴管理などを行う。スマートドライブの「モビリティ・データ・プラットフォーム」の知見と、パナソニックの車載器開発やETC2.0データ活用などの知見を融合した。まずは試験的に開始し、技術や事業性などを検証する。

7日の記者発表会でパナソニックの森俊彦氏(モビリティ事業戦略室プロジェクトリーダー)は、当面は「助走事業」と位置付け、10社程度までを対象に、キャンペーン価格の実証サービスとして提供する方針を説明。来春以降に事業を本格化する考えを示した。合わせて「物流業界の業務効率化を後押ししたい」と意気込みを語った。

▲過去の走行履歴も確認可能(出所:スマートドライブ)

スマートドライブ営業部⾧の稲垣亮太氏はETC2.0 Fleetサービスの特徴として、利用中のETC2.0車載器を利用できる便利さを訴求。車載器を保有していない事業者には安価なリースで提供する計画も示した。運転日報の作成やドライバーの拘束時間管理などの業務を簡単に効率化・可視化できること、操作画面の分かりやすさなども強みであるとした。

料金収受に特化した従来のETCを進化させ、車載器からの情報を全国の高速道路などに設置されたITSスポット経由で収集するETC2.0は、2015年に提供を開始。パナソニックはGPSを搭載した事業用ETC2.0車載器を発売するほか、ITSスポットの設置・保守事業も展開するなど、業界をリードする立場にある。

スマートDとパナソニック、共同でサービス開発へ

物流「効率化」への参入加速、現場は選球眼を磨け

物流現場の抱える課題は多岐にわたっている。消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染症の拡大による宅配ニーズの高まりで、物流現場の効率化が喫緊のテーマになっている。さらに、トラック輸送における安全対策は車両運行事業者として不可欠な取り組みだ。こうした状況にある物流業界は、見方を変えれば、ビジネスチャンスになり得る「ダイヤモンド原石」の宝庫かもしれない。

それを裏付けるように、ITエレクトロニクスやシステム開発業界を中心としたさまざまな業界の企業が、相次いで物流現場の「効率化」「安全対策」に対応した技術やサービスの創出に動いている。今回の共同実証事業も、こうした取り組みのひとつだ。

特に、エレクトロニクス領域は、海外勢との激しい競争にさらされている。成長を続ける市場への参入を模索するなかで、元気なのが物流業界だ。しかも、現場は旧態依然としたアナログなビジネスモデル。改善の余地は十分にある。まさに、市場参入にうってつけの業界だったというわけだ。

とはいえ、一言でくくるには、あまりにも幅が広い物流業界。しかも、物流は他業界との連携で成り立つビジネスだ。当面は、今のような他業種が入り乱れた参入劇が続くであろう。そして、物流現場が一定の効率化を成し遂げた時、生き残る技術やサービスが絞られ、さらに進化を遂げていくのだ。物流業界にとっては、さまざまな新しいモノを試せる機会が存分にあるということ。物流現場が、しっかりと課題を認識し、的確な「選球眼」を磨くことが、最終的に現場の効率化に成功するカギとなるだろう。(編集部・清水直樹)