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国内段ボール生産量、25年に20年比5.5%増と予測

2021年10月25日 (月)

調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は25日、2025年における国内の段ボール生産量について、20年比5.5%増の149億7000万平方メートルになるとの予測を明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞で落ち込んでいた生産量は21年に入って回復基調に転じており、22年には本格的な回復期に突入するとした。しかし、価格面では需給のひっ迫で不安定な状況が続いており、先行き不透明感を拭えない状況だ。

全国段ボール工業組合連合会統計資料によると、20年の国内段ボール生産量は141億8735万平方メートル。コロナ禍による経済活動の停滞は、段ボール需要にも大きな影響を及ぼした。

最大の需要分野である飲料や加工食品向けは、自動販売機やコンビニエンスストア向けの需要が激減。青果物向けも業務用の減少に加えて、局地的な集中豪雨による影響も大きかった。電気器具・機械器具向けはサプライチェーンの分断により自動車産業を中心に輸出が大幅減となり、需要分野の中でも減少率が最大だった。薬品・洗剤・化粧品向けも通院控えや服薬機会の減少、訪日外国人客需要の激減などが響いた。

新型コロナウイルスの影響で紙・板紙の生産量が減少したことにより古紙の発生量が減少。これに米国市場の段ボール需要増や海上コンテナ不足などが相まって東南アジアの古紙輸入が滞っている。一方で、EC(電子商取引)市場の拡大により中国や東南アジアにおける段ボール需要が拡大していることから、グローバルマーケットでは古紙の需給がひっ迫。19年に急落した古紙輸出価格は20年から21年かけて上昇基調にあり、古紙の需給同様の傾向が続くとみられることから、国内原紙市況の値上がりにつながる可能性も出てきている。