ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日航の2Q貨物収入、北米好調で前年比84%と大幅増

2021年11月2日 (火)

(出所:日本航空)

財務・人事日本航空は2日、2022年3月期第2四半期累計連結決算を発表した。貨物郵便収入は983億円で、前年同期比84.0%と大幅に増加した。

国際貨物は北米向けの自動車や電子部品関連が堅調に推移した。旅客便の供給が限られるなかで、新型コロナウイルス禍以前と比べて需要や単価が高い状況が続いている。

自社旅客機や他社貨物機を利用した貨物便を積極的に運航することで、大幅な増収を確保。国際貨物の収入は2022年3月期第2四半期累計で808億円と前年同期の2.1倍に膨らんだ。第2四半期単独でも、2022年3月期で419億円と前年同期の2.2倍になった。年末にかけても高需要期を迎えることから、「需要を着実に取り込んでさらなる増収を目指す」(日本航空)としている。

国内貨物は、宅配需要が引き続き堅調だった。消費スタイルの多様化やコロナ禍による宅配ニーズの高まりが今年度も継続しており、国内貨物の需要を牽引した。

コロナ禍での「窮余の策」は、新しいビジネススタイルの可能性を示したと言えないか

日本航空の貨物ビジネスが急速に回復している。10月29日に決算を発表したANAホールディングスとともに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済停滞からいち早く脱却した北米や中国が牽引する形で、国際貨物の回復が顕著だ。

しかし、こうした貨物事業の急回復は、海外の市場の改善だけが理由とは思えない。むしろ、従来の貨物輸送の通例を見直し、コスト効率の高い柔軟な事業運営を進めた成果が表れてきたのではないか。

自社の旅客便や他社便を使った貨物輸送は、コロナ禍以前は必ずしも積極的に踏み出すことができない手法だったのではないだろうか。あくまで自社の貨物は自社の貨物便で運ぶスタイルが本来の姿であり、むしろ窮余の策だったのは事実だろう。

とはいえ、新しい貨物輸送の可能性を打ち出すことができたのは間違いない。グループ全体として最適な貨物輸送のあり方を考える時、コロナ禍での対応は確かな実績として今後に引き継がれていくべきだろう。有事の時こそ、新しい発想が生まれる。今回の日本航空の決算は、それを証明していると言えないだろうか。(編集部・清水直樹)