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川重やトヨタなど、内燃機関による脱炭素化へ挑戦

2021年11月15日 (月)

▲水素エンジンを搭載したレーシングカー(出所:川崎重工業)

環境・CSR川崎重工業とSUBARU、トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機の5社は13日、11月13日から2日間開催された「スーパー耐久レース in 岡山」(3時間レース)において、カーボンニュートラルの実現に向けて内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦について発表した。

脱炭素化を推進する機運が高まる物流業界でも、より多様な選択肢が提供されることになれば、より実効的な活動を展開する契機にもなりそうだ。内燃機関を活用した脱炭素化が一定の効果を発揮きることが確認されれば、物流など車両を活用した産業における環境対応戦略にも大きな影響を与えるのは必至だ。

燃料を「つくる」「はこぶ」「つかう」選択肢をさらに広げていくために、カーボンニュートラル燃料を活用したレースへの参戦のほか、二輪車での水素エンジン活用の検討、水素エンジンでのレース参戦継続の3つの取り組みに挑戦する。内燃機関と組み合わせた燃料の「つくる」「はこぶ」「つかう」のさらなる連携を進めることで、今後5社はカーボンニュートラル実現に向けて、電動化への取り組みに加え、顧客へのより多くの選択肢の提供を目指す。

▲次世代バイオディーゼル燃料を使用するレーシングカー(出所:マツダ)

カーボンニュートラル燃料を活用したレースへの参戦については、マツダが次世代バイオディーゼル燃料を使用する車両でレースに挑戦する。従来のHEVモデルやディーゼルエンジンモデル、BEVモデルだけでなく、今後はPHEVモデルを投入し、パワートレインのラインアップを拡大するとともに、志を共にするパートナーとバイオ燃料に代表される再生可能燃料への取り組みを推進する。

さらにSUBARUとトヨタは、カーボンニュートラル実現を目指し、2022年中盤に世界各地での発売を予定している両社共同開発によるBEV(バッテリを動力源とする電気自動車で外部電源を用いて充電する方式のもの)のSUBARU「SOLTERRA」(ソルテラ)とトヨタ「bZ4X」(ビーズィーフォーエックス)など、電動化を含めた対応を進めている。このたび新たな選択肢を検討するため、22年シーズンのスーパー耐久シリーズのST-Qクラスに、バイオマスを由来とした合成燃料を使用する新たな車両を投入し、実証実験を進めていく。

二輪車での水素エンジン活用の検討については、川崎重工業が次世代エネルギーとして水素に着目。豪州の褐炭でつくった大量で安価な水素を日本へ運搬する実証試験を開始。21年度中には川崎重工が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」による水素の輸送を予定している。また、18年に世界で初めて成功した市街地での水素100%を燃料とするガスタービン発電技術で培った水素燃焼技術をベースに、航空機用、船舶用、二輪車用といった陸・海・空のモビリティ向け水素燃料エンジンの開発を進める。

ヤマハ発動機は、二輪車や四輪バギーなど自社製品への搭載を視野に入れた水素エンジンの技術開発を推進。新規の設備導入の準備と、社内における開発体制の強化を進めている。川崎重工業とヤマハ発動機は、二輪車への搭載を視野に入れた水素エンジンの共同研究について検討を開始。さらに今後は、本田技研工業とスズキを加えた4社で二輪車における内燃機関を活用したカーボンニュートラル実現への可能性を探っていく。

さらにトヨタは、水素エンジンでのレース参戦を継続。2016年からヤマハ発動機やデンソーなどの関係者とともに、水素エンジンの開発に取り組んできた。開発中の水素エンジン搭載車を「富士SUPER TEC24時間レース」「スーパー耐久レース in オートポリス」「SUZUKA S耐」の3戦に投入し、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の選択肢を広げる取り組みを、企業・自治体とともに展開する。