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ナビタイム、車線規制渋滞の予測サービスを提供

2021年11月17日 (水)

サービス・商品ナビタイムジャパン(東京都港区)は17日、カーナビゲーション用アプリケーション「カーナビタイム」「NAVITIMEドライブサポーター」、トラック専用カーナビアプリ「トラックカーナビ」などに、事故による車線規制による渋滞を予測できる機能を搭載したと発表した。トラック輸送など物流業務における運行管理の精度を高める取り組みにも活用できる機能として、業界の注目を集めそうだ。

▲事故による渋滞を予測し代替ルートを提案(出所:ナビタイムジャパン)

高速道路上で事故による車線規制が発生した場合の渋滞を予測することで、より精度の高い到着予想時刻を案内する。到着予想時刻の精度向上とともに、事故が発生したばかりで渋滞が続きそうな予測の場合はその区間を避けた代替ルートも提案する。

渋滞や交通規制などの道路交通情報をFM多重放送やビーコンを使ってリアルタイムにカーナビに届けるシステム「VICS」で配信された過去の事故渋滞情報から、事故発生後に渋滞が広がる範囲や渋滞解消のタイミングを分析・算出し、ナビタイムジャパンの持つ過去の事故渋滞時のプローブ交通情報と組み合わせることで、道路ごとに渋滞解消時間・走行速度などを予測する仕組み。

今回搭載した新機能は、全国の高速道路を対象とした、有料会員向けサービスだ。NAVITIMEシリーズで車のルートを検索できるサービスに対応する。

ナビタイムジャパンは今後、車線規制が発生しない場合や、事故以外の原因による車線規制などでの渋滞予測の提供を検討するほか、対象範囲を一般道へ拡大するなど、さらなる予測技術の向上を図っていく。

業界特化型システムだけが物流DX化の「最適解」ではない

トラックなどによる輸配送業務において、高速道路の渋滞は最大の「敵」だ。配送遅延をはじめとするスケジュールへの影響はもちろんのこと、ドライバーの長時間運転による就労環境の悪化をもたらす。さらには、温室効果ガスの排出量が増えて脱炭素化の取り組みにも逆行することになる。

(イメージ)

とはいえ、事故の当事者でもない限りは、渋滞はいわば「外的要因」でしかない。何とも悩ましい事故渋滞だが、それを高精度で予測するサービスが登場した。車線規制による渋滞に伴う目的地の到着予定時刻を算出して知らせる機能だ。配送先に遅延時刻を伝えられることで、業務のダメージを最小限にできる利点がある。遅延はやむを得ないとしても、到着時刻が分かるだけでもスケジュールの再設定がやりやすくなるからだ。

システムを開発したナビタイムジャパンは、2009年に渋滞予測サービスを提供開始して以降、オンデマンドVICSによるリアルタイムの道路交通情報をはじめ、過去の渋滞情報や通行実績などのビッグデータを用いた独自の渋滞予測技術を活用することで、継続的に到着予想時刻の精度向上に取り組んできた。

今回の新サービスは、物流向けに特化したサービスではない。しかし、最も恩恵を受けそうな対象は物流ドライバーであろう。言い換えれば、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進する取り組みは、必ずしも物流向けにあつらえたものである必要ではないということだ。

物流DX化と聞けば、どうしても物流現場の業務改善に特化したシステムを選びがちだ。しかし、物流現場の多くは汎用的な業務で構成されているものだ。物流DX化のあり方を考えるうえで、最も活用できるサービスは意外にも業界の「外」に転がっているものなのだ。(編集部・清水直樹)