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日本郵船、アンモニア燃料転換を前提に船舶設計

2022年3月3日 (木)

環境・CSR日本郵船は3日、アンモニア燃料への転換を前提としたLNG(液化天然ガス)燃料船のコンセプト設計を完了したと発表した。LNGからアンモニアへの燃料転換を可能にする取り組みの一環で、より環境負荷を低減できる海上輸送を実現するための布石とする。

日本郵船グループのMTI(東京都千代田区)、フィンランドの船舶技術コンサルタント会社Elomatic Oy(エロマティック・オーイー)の2社とともにプロジェクトを推進。


▲アンモニア燃料への転換を前提としたLNG燃料船のコンセプトイメージ(出所:商船三井)

日本郵船とMTIは、外航海運事業における温室効果ガス排出削減の長期目標について「2050年までのネット・ゼロエミッション達成」と設定し、LNG燃料船の船隊整備を進めている。将来的にはアンモニアや水素など、より環境負荷の低い船舶燃料を使用するゼロエミッション船の投入を目指している。

プロジェクトは、将来的にアンモニアが次世代の舶用燃料として普及することを想定し、LNG燃料船の効率的なアンモニア燃料船への改造・転換が可能な船舶の建造を目指す。その一環として、日本郵船とMTI、エロマティック・オーイーの3社がコンセプト設計の検討を21年9月に開始した。

コンセプト設計は、船会社の船舶運航にかかる知見を活かしながら建造する船の積荷量、航続距離、船速、燃料容量などの仕様を検討する取り組みだ。将来、造船会社と船を建造する際には、このコンセプト設計を満たせるように設計を進める。

まずは21年9月からことし2月末までの間に、LNG燃料を主燃料とする自動車専用船などの船舶について、アンモニア燃料船への改造・転換が可能な船舶のコンセプト設計を実施。積載するタンクの材質や、LNGよりも体積が大きいアンモニアに対する追加タンク配置、アンモニアを主機関や船内で供給する装置などについて研究し、今後の技術確立が必要な課題を抽出した。

日本郵船などはことし6月までに、LNGを主燃料とする船舶などで同様のコンセプト設計を行う。さらに22年末を目標に、コンセプト設計で得られた最適な燃料タンク配置やアンモニア燃料供給装置、船体構造強度を実際の設計に落とし込むことで、造船所などとアンモニア燃料船への改造・転換が可能な船舶の設計を進める。

プロジェクトは実際の建造船の設計が完成した際に完了する予定。今後はLNG燃料船からアンモニア燃料船へ支障なく移行できる輸送サービスを顧客・取引先へ提案し、LNG燃料船を効率的にアンモニア燃料船に改造・転換できる船舶の25年の完成を目指す。