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日野自、データ不正解明へ外部の特別調査委を設置

2022年3月11日 (金)

荷主日野自動車は11日、国内市場向け車両用エンジンの認証申請におけるデータ不正行為の確認を受けて、外部の法律専門家や技術知見のある外部有識者で構成する特別調査委員会を設置したと発表した。日野自動車は特別調査委員会の調査に全面的に協力していく方針だ。

(イメージ)

日野自動車は3月4日、国内市場向けトラック・バス用エンジンの排出ガスと燃費に関する認証申請における2016年以降の不正行為を確認したと発表。中型・大型エンジン計3機種でエンジン性能を偽る不正行為があり、エンジン性能自体に問題があることも明らかにした。

日野自動車は事案の全容解明と原因解明を進めるための機関として、利害関係のない外部有識者による特別調査委員会を設置。委員長に榊原一夫・元大阪高等検察庁検事長、委員には島本誠・ヤマハ発動機顧問と沖田美恵子弁護士がそれぞれ就任した。

榊原氏は最高検察庁公判部長や大阪高等検察庁検事長などを経て、現在は弁護士。ヤマハ発動機の元取締役の島本氏はエンジン設計にも携わった。沖田氏は東京地方検察庁特別捜査部などを歴任した。

データ不正発表から1週間、全容解明とともに必要なのは日野による「社内風土の刷新」だ

日野自動車が、国内市場向けトラック・バス用エンジンの排出ガスと燃費に関する認証申請における2016年以降の不正行為を確認したと発表してからちょうど1週間。本格的な内部調査は、外部の特別調査委員会に委ねられることになった。

▲3月4日の記者会見で陳謝する小木曽聡社長(左)と下義生会長

焦点は、不正事実の全容解明と原因追求の2点だ。データ不正は、2016年9月以前の事案については確認できていない。不正の病巣はいつから社内をむしばんでいたのか。他に不正データの作成はなかったのか。未だに疑念が解消できない状況で、徹底的な調査の結果が待たれるところだ。

さらに、データの不正に至った端緒とその要因の特定は、再発防止策の構築の観点からも極めて重要なテーマだ。3月4日の記者会見では小木曽聡社長が「現場における数値目標達成やスケジュール厳守へのプレッシャーなどへの対応が取られてこなかったことが背景にある」としているが、こうした社内風土が存在したとしてもデータ不正に手を染めた直接的な要因も当然あるはずだ。その解明こそが、実効的な再発防止となる。

ユーザーへの適切な説明・対応とともに、調査結果の公表と今後の事業運営への反映こそが、信頼回復への道筋となる。外部の特別調査委員会の手でデータ不正の事実関係や原因が明らかになることに期待するのはもちろんだが、不可欠なのは日野自動車の信頼回復に向けた自発的な社内風土の刷新だ。こうした取り組みは、社会インフラである物流の維持にも貢献することを忘れないでほしい。(編集部・清水直樹)