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三菱自、インドネシアで軽商用EV普及へ実証実験

2022年3月14日 (月)

調査・データ三菱自動車工業は14日、インドネシア販売会社のミツビシ・モータース・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)が、現地企業4社と軽商用EV(電気自動車)の実証実験に関する覚書を締結したと発表した。

MMKSIは、インドネシア国営郵便会社ポス・インドネシア▽送配電事業のハレヨラ・パワー▽モビリティサービスのゴジェック▽ドイツ物流業の現地法人DHLサプライヤーチェーン・インドネシアーーの4社との間で覚書を締結。

国内で2011年に投入した「ミニキャブ・ミーブ」を輸送業務に活用することで、半年間の実証実験を通じて走行距離や充電記録、配送ルートなどのデータを集積し、EV普及に向けた環境整備の検証を進めていく。

MMKSIは「今回の実証実験を通じて、インドネシアにおける三菱自動車の電気商用車の普及とその活用について取り組んでいく」としている。

新興国でEV物流の礎を築く好機になる可能性を感じさせる、三菱自動車工業グループの取り組み

経済成長の続くインドネシアでは、物流需要が急速に高まる一方で、世界レベルで機運が高まる脱炭素化への対応も迫られている。MMKSIが当地企業と取り組む軽商用EVの普及に向けた実証実験は、物流の輸送モードを確保しながら環境対応にもつなげられる活動として、注目を集めそうだ。

インドネシアをはじめ東南アジアは経済成長が急速に進んでいる。若い世代が多く個人消費の拡大が見込めるなかで、日本をはじめ世界中の企業が成長市場として着目し、あらゆる産業の企業が現地で商品やサービスを積極的に展開する。

それに比例して急成長を遂げているのが物流ビジネスだ。国内と輸出入の両面で貨物の動きが激しさを増す一方で、地場の物流産業が成熟の途上にあることから、欧米や東アジアの物流事業者の参入事例も多い。

(イメージ)

こうした状況で、どうしても遅れがちなのが環境対応だ。歴史が物語るように、経済成長の最中にあるうちはなかなか環境対応に手が回らないのが現実なのだろう。裏を返せば、ここで脱炭素など環境施策を経済成長と同時並行で進めていく新しいビジネスモデルを構築できるならば、ライバルとの差別化を図れる可能性は十分にある。

今回の三菱自動車工業グループによるインドネシアでの軽商用EVの展開に向けた実証実験は、こうした新ビジネスを予感させる動きと受け止めた。世界におけるカーボンニュートラルの動きは、現時点では先進国が中心だが、当然ながら新興国にも同様の動きは押し寄せてくる。しかも、それは相当速いスピードで現実のものとなるだろう。

それを見据えた動きと言えばいかにも大袈裟かもしれないが、先手でこうした土壌を作ることで、当地における物流のEV化が加速する先駆けになれば、将来に大きな足跡を残すことになる。(編集部・清水直樹)