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水陸両用船の無人運航に「世界初」成功、日本財団

2022年3月15日 (火)

▲実証実験時の船内(出所:日本財団)

調査・データ日本財団(東京都港区)は14日、群馬県内で実施した水陸両用船「八ッ場にゃがてん号」の無人運航を実証実験に成功したと発表した。同財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI(めぐり)2040」の一環で、水陸両用船による無人運航に成功した事例は世界で初めてという。

水陸両用船は国内で観光船として使用されているが、近年は多発する甚大な豪雨災害への備えとして導入する自治体の動きもみられる。自動運航の実用化により、観光活用や防災機能に加えて「水陸両用の特性を生かして国内の有人離島へのシームレスな物流インフラの構築に期待できる」(同財団)としている。

▲八ッ場にゃがてん号(出所:日本財団)

実験は同県長野原町が保有する船(全長11.83メートル、重量11トン)に自律運航システムを搭載し、町内の八ッ場あがつま湖で実施した。船は2キロを30分程度かけて運航し、障害物を自動検知して回避する複数のセンサーが機能したほか、位置情報や収集した周辺情報を集約してAI(人工知能)の学習などで無人運航を実現した。

検証結果は、海難事故の減少や海運業の人手不足解消に向け、船舶の経路の追従・避航システムなど安全航行に役立てる。一方で、実験では通信環境の安定性やAIによる画像認識など技術的な課題も判明し、同財団は引き続き、水陸両用船の実用化を目指して問題解決に取り組む。

プロジェクトの成果は、4月20日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される、日本最大の国際海事展「SEA JAPAN」(シー・ジャパン)で披露する。