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「10分宅配」OniGO、拠点網拡充へ7.2億円を調達

2022年4月8日 (金)

フード「10分で食料品や日用品を届ける宅配スーパー」を展開するOniGO(オニゴー、東京都目黒区)は8日、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(東京都文京区)がリード投資家をつとめるシードラウンドで総額7億2000万円を調達したと発表した。オニゴーの資金調達額は累計で11億8000万円に達した。

今回調達した資金は、データサイエンティストをはじめとする人材採用やプロダクト改善のほか、新規拠点の開設費用などに充てる。

消費スタイルの多様化に対応した魅力的なプロダクト開発を推進するとともに、利便性を追求した商品購入シーンを創出することにより、子育て世代など買い物を負担に感じる消費者に不可欠なサービスの展開を加速する。その具体策として、年内に東京23区をカバーする商品宅配体制を構築する。

オニゴーは、日本版Qコマース(注文から短時間で配達できる仕組みを備えた電子商取引)の事業モデルをいち早く構築することで、数年内に売上高1兆円の実現を目指す。日本版Qコマースの成長性を期待する投資家の賛同も得ながら、国内における市場の拡大に貢献していく。

(出所:OniGo)

「新しい生活様式」の時代に投資意欲を惹起できるかが、日本版Qコマースの成否を分けるポイントだ

新型コロナウイルス感染拡大に伴う消費スタイルの多様化は、宅配サービス市場をあらゆる側面で劇的に変えた。規模の拡大だけではない。サービスの「量」だけでなく「質」の差別化が急速に進んだことが特徴だ。配送スピードや対象商品のラインアップなど、実に多様な特色を訴求する事業者が数多く参入している。

オニゴーは、「最短10分」で届ける極限までのスピードで、ライバルとの差を明確化することで、市場に新たな境地を開いた。欧米で絶大な支持を得たQコマースは、国内でも定着するかどうかで意見が分かれているが、現時点ではオニゴーをはじめとする宅配事業者の経営努力もあって、一定水準を超える支持を得ているようだ。投資対象となっていることからも、それがうかがえる。

(出所:OniGo)

とはいえ、本当の勝負はむしろこれからだ。コロナ禍が収束し、「新しい生活様式」の時代が本格的に到来する今後、宅配ニーズは新たな消費スタイルにどう対応するか。Qコマースに適したサービスをさらに磨くのか、あるいは新たな価値を模索するのか。オニゴーが今後も投資家に明確な成長戦略を示せるか、それは日本版Qコマースの定着の行方をも左右する。(編集部・清水直樹)