調査・データ総合不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL、東京都千代田区)は26日、東京圏の物流不動産市場を分析した2022年第1四半期の東京ロジスティクスマーケットサマリーを発表した。物流不動産は相次ぐ新規供給によってタイトな需給バランスに緩和の兆しが出てきているという。
第1四半期の東京圏では、期間中の需要面積の増減であるネットアブゾープション(吸収需要)は58万4000平方メートルだった。前期比で減速したものの、3PLとオンライン小売業による旺盛な需要が持続した。新規供給は7棟、計79万8000平方メートルで、ストックは前期比で5%、前年同期比で20%増加した。ベイエリアで三井不動産のMFLP市川塩浜2(延床面積16万1000平方メートル)が完成し、内陸エリアでも松戸物流センター(同6万7000平方メートル)、東急不動産のLOGI’Q狭山日高(11万4000平方メートル)などが完工した。

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空室率は3.0%となり、前期比で1.2ポイント、前年同期比で2.1ポイント、それぞれ上昇した。新規供給によるもので、ベイエリアでは4.1%と前期比3.4ポイント上昇し、内陸エリアは2.5%と前期比0.3ポイントの上昇となった。
賃料は月額坪当たり4462円となり、前期比1.0%、前年同期比1.8%の上昇。既存物件の賃料上昇と新規供給の高い賃料水準がけん引した。ベイエリアは前期比0.9%の上昇、内陸エリアは前期比0.6%の上昇。 物件価格は四半期末時点で前期比4.0%の上昇、前年同期比11.0%の上昇となった。投資利回りの低下と緩やかな賃料上昇を反映した。
物流不動産への投資総額は前年比0.8%増の1083億円となった。投資事例には、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人よるMFLP八千代勝田台の取得がある。価格は180億円、NOI利回り(営業純収益と不動産価格の比率)は4.3%。
今後については、賃貸市場では年内及び2023年に大規模な新規供給が予定されているものの、今後も需要は堅調となると予想されることから、空室率の上昇は限定的となり、賃料は比較的安定的に推移する見通しという。投資市場では、投資家の関心の高さを背景に、投資利回りは一層の低下余地があるとみられ、価格はこれを反映して緩やかに上昇する見通しだ。