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「危険物倉庫緊急サミット」迫真レポート/最終回

2022年6月1日 (水)

話題LOGISTICS TODAY(東京都新宿区)が5月19日開催したオンラインセミナー「危険物倉庫緊急サミット」の迫真レポート。第10回(最終回)は、日立物流グループの掲げる危険品ビジネスの方向性を紹介します。


危険品物流ニーズの変化「小ロット化」「付帯作業」「消費者への直納」

<LOGISTICS TODAY赤澤裕介編集長>
最後に日立物流様です。危険物3PLということで、先程篠塚さんにご紹介いただきました。危険物3PL事業者への業務委託の選択肢について考えてみたいと思います。その選択肢の深掘りとして、どういう風なことを考えて、どういう需要、どういった課題に対応できるのか、あるいはこのあたりを注意しながら進めると話がしやすいとか。あとは危険品と通常の貨物である普通品をハイブリット型で運営する話も先程出てきておりました。このあたりを深堀していただけるとありがたいと思いますが、日立物流さん、よろしくお願いいたします。

<日立物流ファインネクストの篠塚武人・営業企画本部営業開発部長>
危険物物流の環境とニーズの変化ということで、簡単に書かせていただきました。従来は保管や大ロット荷役などのほか、細かい荷役も一部ありました。現在は3PLと申しましたが、物量が増えて、小ロット化してきたり、流通加工の付帯作業が必要になったりしています。また、納品先が工場だけでなく消費者に直接納品することも必要になってきたことが、今のニーズの変化となっています。

冒頭にも申し上げましたが、この業界はデータをいろいろ駆使して取ろうとしても、取れない中でこういったことを導き出したのが、私どもが2017年に竣工させた、古河の首都圏ケミカルセンター。2300坪の倉庫が埋まりました。もう一つがことし1月に竣工した大津物流センター。こちらは600坪ですが、危険物倉庫なので収容能力が非常に高いです。

古河については、さらに外部倉庫1500坪を調達してきまして、大津については2期の追加3棟の敷地がありますから、開発をしていきたいと思います。選択肢の一つとして、危険物3PLの業務委託も荷主様にご理解をいただければと思っております。

顧客ニーズを引き出しながら日本の物流業界ならではの危険品物流を確立したい

<日立物流の鍋島敦・営業開発本部サプライチェーン・ソリューション1部部長>
今日いろんな切り口でお話したので振り返りという形とさせていただきます。日立物流は、いろんな業界のお客様と取引をさせていただいています。その中に危険品、ケミカル品が出てきた流れで、工業製品と流通EC、あとは医薬食品化粧品のカテゴリーに分けました。この円が重なっているところ、ある程度細かな要因はあるのですが、工業用製品を作っているお客様や、あとは昨今拡大しているEC・流通となってくると、拠点の分散やいろんな付帯作業をしていかないといけないと考えています。

あとは医薬・食品・化粧品となってくると、急激に物量が上がってきています。これにも付帯作業が出てきていると思います。これは松本さんのお話にもありましたが、許認可の問題。ここが工業製品や医薬品になると、医療機器関係、医薬品関係の規制が出てきます。今日のテーマである拠点不足が、どこの協議にも出てきます。今我々が取り組もうとしているのが、先程の話にもあったハイブリット型というところです。

これは実際にいまお客様と詳細を詰めている内容です。左が現状、図としてのお客様なのですが、今日のメインテーマにあるように、工場様にはちゃんとした倉庫がなかったので、多いお客様では9箇所、外部倉庫を持っています。この線にあるように、いろんなサプライヤーさんが入ってきており、非常に線が細かい。プロロジス様の営業というわけではないのですが、こういった流れで、全部を危険品でされているお客様もいらっしゃいますが、結構な割合で一般品、ジェネラルカーゴと危険品をミックスして、製造・販売されているお客様も数多くいます。

特に危険品はコスト的に荷主への負担が大きいので、可能な限り、保管スペースを有効に使いながらも、そういった流通確保なり一般品をいかにフレキシブルにできるかと考えています。こういったデザインを作っていくのが我々物流会社の大きな使命なのかなと思います。もちろんコストがジェネラルカーゴより高くなると荷主様も認識はされていますが、いろんなアイデアをこれから作っていかないといけない時代になってきたと考えています。

こういったニーズが広がっていくので、特殊カーゴを使ってマルチ的なロジスティクスを作っていくところが、弊社の中期計画にもなっています。ぜひ、物流会社の皆さまや建設設計の皆様、あとはマルチテナント型のプロロジス様と連携をしながら、一つ二つでもお客様のニーズを引き出して、日本の物流業界ならではの形で頑張っていきたいと思っております。

サミットを終えて

<赤澤氏>
パーフェクトな締めを頂いたのではないかと思います。今みなさんにお話をいただいたように、ここまで2時間少しオーバーしていますが、危険物の倉庫
にフォーカスをして、さまざまな課題や原因分析、対策。それから各社がどういうことをできて、しているのか。今後どういう展開が可能なのか、着手され
ているのか深いお話をワンテーマに特化した形で進めさせていただきました。

ここでさまざまな質問をいただきました。LOGISTICS TODAYは、「危険物倉庫特集」というものを同時進行で展開しております。この中で、今日ご登壇の皆様に、放映中視聴者からいただいた質問を、各社向けと全体に対して聞きたいものをお伝えして責任を持ちお答えいただいたものをまとめて特集で反映したいと考えております。ただ、その中で具体的な個人や企業を特定できるような質問に対しては、若干公開しても問題ないレベルでアレンジさせていただくことはご了承いただきたいと思います。

ここまで長い時間皆さんに、危険物倉庫について考えていただくと深堀できたのではないかと思います。最後、皆さんに一言ずついただきたいと思っております。プロロジス佐藤様、いかがでしたか。

<プロロジスエグゼクティブ・ディレクターの佐藤英征営業部長>
今日はありがとうございました。私自身、勉強になりました。今のお話を総じて、危険物倉庫が足りなくなっていく、今も足りないという中で、賃貸を一度ご検討いただき、私共もお力をご協力できればと考えております。よろしくお願いいたします。

<プロロジスエグゼクティブ・ディレクターの小出敦子コンストラクション・マネジメント部長>
本日はありがとうございました。本日の会で、危険物倉庫のニーズの高まりを改めて実感しましたし、我々の立場ではこれから積極的に危険物倉庫の併設を考えていきたいと思っております。皆様と連携してニーズに応えていければと考えております。

<赤澤氏>
鍋島様、どうでしたか。

<鍋島氏>
今日はありがとうございました。先ほど危険品という名前がいいか、という話がありましたが、非常に頭に残っています。我々業界が、研究し、いいものを作っていかないといけないフィールドだと思います。いろんな知見や会話を広げていいサービスを提供していきたいと考えております。

<赤澤氏>
日立物流ファインネクストの篠塚様、よろしくお願いいたします。

<篠塚氏>
今日はありがとうございました。私自身、大変勉強になったと同時に、危険物3PL事業者として、サービスメニューやサービスレベルのアップに取り組んでいきたいと再認識しました。今日はありがとうございました。

<赤澤氏>
最後、三和建設の松本様、よろしくお願いいたします。

<三和建設の松本孝文・大阪本店次長兼設計グループグループリーダー兼リソウコブランドマネジャー>
ありがとうございました。私も勉強になりましたし、今の現状を知り、増やす、建てていかないといけないような状況にある中で、危険物倉庫を設計・工事する身としては、一般的な危険物倉庫だけではなく、空調や付加価値を求められる現状になっています。私達自身も経験や勉強を積んで、皆様に還元・ご協力できることを積み重ねていたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

<赤澤氏>
時間がオーバーしてしまい、視聴者の方々には申し訳ございません。しかし、かけがえのないチャレンジで、危険物倉庫にフォーカスしたイベントを開き、ここまで盛り上がったのは、物流業界においても重要な転換点になると期待しております。これにて、本日お届けしてまいりました、危険物倉庫緊急サミットを終了させていただきます。ありがとうございました。


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