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「危険物倉庫緊急サミット」迫真レポート/第2回

2022年5月26日 (木)

話題LOGISTICS TODAY(東京都新宿区)が5月19日開催したオンラインセミナー「危険物倉庫緊急サミット」の迫真レポート。第2回は、専門家の皆様によるパネルディスカッションが始まります。まずは危険物倉庫の需要動向について考えます。


<LOGISTICS TODAY赤澤裕介編集長>
ここからは、専門家の皆様にお越しいただき、パネルディスカッションに入っていきたいと思います。私の左側にお並びいただいている、5名のパネリストを紹介いたします。

<プロロジスエグゼクティブ・ディレクターの佐藤英征営業部長>
プロロジスの佐藤でございます、よろしくお願いいたします。本日は賃貸型物流施設のプロバイダーとしての立ち位置で参加させていただきます。

<プロロジスエグゼクティブ・ディレクターの小出敦子コンストラクション・マネジメント部長>
プロロジスの小出です。プロバイダーの立場で危険物倉庫の開発に携わってまいりました。今日はよろしくお願いいたします。

<日立物流の鍋島敦・営業開発本部サプライチェーン・ソリューション1部部長>
鍋島でございます。本日はありがとうございます。私は製造業の物流に携わっております。今回お客様の目線も含めて議論を深めたいと思います。よろしくお願いいたします。

<日立物流ファインネクストの篠塚武人・営業企画本部営業開発部長>
日立物流ファインネクストの篠塚です。今日は実務を運営し、また営業をする立場として参加させていただきます。よろしくお願いいたします。

<三和建設の松本孝文・大阪本店次長兼設計グループグループリーダー兼リソウコブランドマネジャー>
三和建設の松本です。よろしくお願いいたします。今日は実際に危険物倉庫を建設・設計や施工する立場で、危険物倉庫を建てる立場で参加をさ
せていただきます。よろしくお願いいたします。

危険物倉庫の需要は確実に高まっている

<赤澤氏>
私を含むこの6名で、危険物倉庫の課題や対策、あるいは今後の展望を探っていければと思っております。

最初に、議論の出発点として、先程のアンケート結果にもありましたが、非常に多くの方が危険物倉庫に対する需要を抱えています。それに対して、事業として儲かるという表現をしましたが、ビジネス機会に恵まれたマーケット環境になりつつある仮説も立ちつつあります。

実際に今ご紹介をさせていただいた3社の方々は、需要の変化をどのように感じていらっしゃるのか。そのあたりから探っていければと思っております。

まずは日立物流ファインネクストの篠塚さん、危険物倉庫の需要におけるここ数年の変化について、何か感じていらっしゃいますか。

<篠塚>
危険物倉庫のデータが非常に取りにくいなかで、まずお伝えしておくのは、5年前から新規物件を立ち上げて運営してきたが、まだ経験が浅いということです。弊社の危険物倉庫の引き合い件数は前年比200%であることから、こうした数字を背景に今のニーズが拡大しているという肌感覚を持っています。

まずはコンプライアンスの意識が高まってきていて、それから需要が変わってきました。危険品を取り扱う業界と製品が広がってきており、それに応じて需要が拡大しているという認識を持っています。

<赤澤氏>
なるほど。1年で200%ということは、2倍ですよね。そこまで需要が膨らんでしまうと、そもそも危険物倉庫が足りなくなってくるということも考えられます。

同じく市場関係の変化について、建築の立場から、三和建設様はどういう風に考えてらっしゃるのか。松本さん、いかがでしょうか。

<松本氏>
建設の方も倉庫の床面積などは国交省のデータから出ているが、危険物倉庫だけで見ると、どれだけ建っているかは情報としてなかなかわかりません。

私達の方に来ている問い合わせ件数について、10月からの1年間について過去5年間で振り返っています。3年ほど前、ちょうど新型コロナウイルス感染拡大の時期を境に、問い合わせ件数が増えています。

注目すべきは今期です。10月1日からなので半年になりますが、すでに昨年を上回る数の相談をいただいております。こうしたことからも、ニーズが増えているんだろうなと肌感覚があります。

危険物倉庫の高い需要は決して「一過性」ではない

<赤澤氏>
日立物流ファインネクスト様と、実際に建設に携わっている三和建設様からはともに、ここにきて需要の急増の証言をいただきました。

これが一時的なものなのか、それとも今後高い需要が続くのか、探っていきたいと思います。

まずは日立物流の鍋島様にうかがいます。今後危険物倉庫の需要は続いていくのか、それとも何か変化があるのか、どういう風にご覧になっていますか。

<鍋島氏>
後ほどみなさんとディスカッションしながら掘り下げていこうとは思いますが、今のお話にもあったように、一昔前は工業用の危険品は危険物倉庫の主な取扱品でした。ただし、昨今はご存じのように、コロナ禍の影響で消毒液やアルコールが増えてきており、今まで危険品を扱ってこなかった分野でも危険品のニーズが出てきました。

そう考えると、しばらく同じような形で取り組み規制が強化されることで、物流の環境がまだしばらくは増えていくのではないかと思っています。

<赤澤氏>
立場を変えて、賃貸型の物流施設を提供しているプロロジスの佐藤様にうかがいます。今後の展開をどういう風に見ていらっしゃいますか。

<佐藤氏>
危険物需要のニーズは今後も強まっていきます。理由としましては、荷主企業のコンプライアンス意識の高まりやEC(電子商取引)需要の増大、さらに最近工場用の用地が枯渇しておりますので生産ラインが増設のたびに物流が外出しされるという事態が起きております。そういったことからも、ニーズはかなり強まっていくと考えております。

<赤澤氏>
実際に利用する立場、施設を開発して提供する立場のどちらからも、需要が高い状態が続いていくという話がありました。

もう一度松本さんにうかがいたいのですが、前年度比でも高い伸びということですが、今後もこの状況は続いていきそうですか?

<松本氏>
今お話をうかがっていても、また問い合わせの内容や業者も、幅が広がっているなあと感じます。そういった状況から、しばらくは続くのかなと感じております。

<赤澤氏>
現在、危険物倉庫の需要が非常に高い状況にあり、それから今後も加速度的にこういった状況が拡大・継続する見通しが立っていることが、これまでのお話から明らかになりました。


第3回は、パネルディスカッションで危険物倉庫が不足する原因に迫ります。

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