ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

三菱ロジスネクスト、部材高でフォークなど値上げ

2022年5月31日 (火)

(イメージ)

荷主三菱ロジスネクストは31日、フォークリフトと構内運搬車ローダーの国内販売価格について、ことし7月1日より4%から5%値上げすると発表した。フォークリフトの構成部材や部品価格の高騰に加えて、製品の輸送費の上昇も拍車をかけた。倉庫現場など搬送業務に不可欠な機器の値上げは、燃料高などでコスト削減を進める物流業界にも影響が広がりそうだ。

三菱ロジスネクストは高品質な製品を安定的に提供するため、これまで生産性の向上やコスト低減に向けた様々な合理化を推進してきた。しかし、鋼材をはじめ半導体や電子部品の価格高騰に加えて、エネルギーコストや輸送費の上昇は企業の合理化努力で吸収できる範囲を超えていると判断。製品価格の値上げに踏み切った。

値上げの対象となる製品は、バッテリー式フォークリフト、エンジン式フォークリフト、ウォーキータイプローリフト、ショベルローダーなど。リーチ型バッテリー式フォークリフトは現行の301万8000円から313万9000円(ともに税別)、ショベルローダーは962万円から1010万1000円(同)にそれぞれメーカー希望価格を値上げする。

「値上げの夏」こそ、物流現場コストをサプライチェーン全体で分配する風土を醸成する好機だ

「値上げの夏」が物流機器業界にも押し寄せてきた。三菱ロジスネクストによるフォークリフトの値上げは、物流現場における様々なコスト高騰に拍車をかけることになる。とはいえ、新型コロナウイルスによる世界的なサプライチェーンの混乱やウクライナ情勢の緊迫化などの地政学的リスクなど、複合的な要因の結果であることを考慮すれば、むしろ企業努力に敬意を表するのがあるべき姿だ。

物流業界では、燃料高や関連資材の値上げを荷主企業などへ請求する輸送費に転嫁するのを極限まで避ける力学が働く傾向にある。サプライチェーンにおけるコスト高の主な要因として輸送コストが槍玉に挙がるからだ。

「物流はあくまで手段だ」という、いわゆる「コスト産業」のレッテルが未だにはがされていないのだとしたら、何とも残念な話である。「社会に不可欠なインフラ」としての役割が認知されてきている今、こうした発想とは決別してほしいところだ。求められるのは、コストアップをサプライチェーン全体で「分配」する考え方だ。

こうした論理で考えるならば、物流業界もフォークリフトなど物流関連機器の値上げも、当然ながら受け入れるべき話だ。まずは機器を導入する事業者が負担するものの、それは物流サービスの対価という形で適正に分配される、それがあるべき姿だ。むしろ、あらゆるコストの上昇局面にある今こそ、それを許さない風土を排除する好機になるはずだ。(編集部・清水直樹)