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ブロックチェーンで農産物の輸出拡大、6社が実験

2022年6月2日 (木)

フード三菱ケミカルホールディングス(HD)やNTTデータなど6社はこのほど、日本の農水産物の信頼性を高めることを目的に、不正や改ざんを防ぐブロックチェーン技術を活用して温度など輸送の品質を担保するシステムを試作した。実証実験を進めており、完成すれば農水産物の輸出拡大やフードロスの削減が期待できるという。

このシステムは「スマートフードチェーンプラットフォーム」。三菱ケミカルHDが代表を務める6社の研究グループが2018年10月から開発を進めてきた。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムのモデルに採択されたプロジェクトだ。

ブロックチェーンは、情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して分散的に処理記録するデータベースの一種で、不正や改ざんへの対応力が高い。

▲RFID温度ロガータグ(出所:NTTデータ)

この実証実験では、農水産物の生産者から物流倉庫を経て小売店までの輸送中、経路や輸送時の温度、衝撃などの情報をシステムが取得する。それをブロックチェーン技術を使って記録することで改ざんを防ぎ、正しいことを担保する。様々な情報のうち、温度情報の取得には、電波を用いてデータを非接触で読み書きする「RFID温度ロガータグ」というタグを荷物に取り付け、プラットフォームと接続させてデータを取り込む。

このようなトレーサビリティー情報(追跡可能な情報)を、小売店で農産物を販売する際の品質保証やPR、説明に使うことで、消費者に安心・安全を届けられる。生産者と物流・流通業者、消費者の間の情報の流れを高度化することで、日本産の農水産物や食品の価値が高まり、輸出拡大につながることが期待できる。また、温度管理を厳格化することでフードロスの削減にもつながる。

研究グループの他の4社は沖縄セルラー アグリ&マルシェ(那覇市)、タキイ種苗(京都市下京区)、堀場製作所、ヤマト運輸(東京都港区)。国産の農水産物や食品の輸出を考えている事業者らに対しても、実験への参加を呼びかけている。

▲スマートフードチェーンシステムのスキーム