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別の物流拠点への代替輸送始まる、SBS倉庫火災

2022年7月4日 (月)

▲消防による消火作業が続く阿見第二物流センター(茨城県阿見町、7月3日16時ごろ撮影)

ロジスティクスSBSフレック(東京都新宿区)の物流施設「阿見第二物流センター」(茨城県阿見町)で発生した倉庫火災で、同社は4日までに、被災施設を利用していた複数の荷主の食品メーカーに対し、当面の代替措置として別の物流拠点への切り替え輸送を提案し、承諾した荷主への施設提供を開始した。サプライチェーンを維持するための「つなぎ」の措置だが、今のところ店頭での欠品は防げているという。また、主要な荷主の1社、雪印メグミルクは4日、「商品の生産と供給に大きな混乱はない」と発表した。

SBSフレックの親会社、SBSホールディングス(HD)の説明によると、被災施設は常温と冷凍・冷蔵の3温度帯の倉庫のため、取扱商品の大半は乳製品などの冷凍・冷蔵食品だ。施設が1か月前に稼働したばかりで、まだ荷動きが本格化しておらず、6月30日の出火当時、庫内には本来量の1-2割の商品しか置いていなかった。しかも毎日出荷する商品は限られていた。こうしたことから庫内保管分の被災影響は比較的軽微で済み、輸送先の小売店での欠品は、今のところ起きていないという。

出火の翌日以降の入庫分については、SBSフレックが善後策として関東地方にある自社やグループ企業、下請け企業の別倉庫を荷主に提案した。まだ一部の荷主の商品ではあるが、それら代替倉庫への切り替え輸送が始まっている。ただ、調整がつかず代替倉庫が見つからず、荷主の元で商品が留め置かれているケースも少なくない。

SBSHDのIR・広報部では、「なんとか欠品を防げ、顧客への影響を最小限に抑えられている」と話している。冷凍・冷蔵食品の最需要期である夏がすでに本格化しており、しばらくは緊張感ある物流運営を強いられそうだ。

一方、被災施設の再開には一定程度の期間を要する見通し。それまでの中期的な代替手段の確保・提供については「荷主との協議はこれから」(広報担当者)という状況だ。本格稼働時に想定していた大量の食品物流の受け皿をどう確保するか、SBSグループを挙げた対応が求められよう。

雪印メグミルクは4日、SBSフレックの阿見第二物流センターの火災に関し、「現在のところ、自社商品の生産および供給に大きな混乱は生じていない」と発表した。同センターは雪印の阿見工場に隣接しており、製品に加工する前の原料乳製品を保管していた。