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GLP、福岡・小郡の高速結節点でマルチ型倉庫着工

2022年7月13日 (水)

拠点・施設日本GLP(東京都港区)は13日、物流施設「GLP福岡小郡」(福岡県小郡市)の建築工事に着手したと発表した。145億円を投じた新拠点建設プロジェクトは、2023年11月の完工を予定している。

▲GLP福岡小郡の鳥瞰イメージ(出所:日本GLP)

同社はGLP福岡小郡の着工に合わせて、小郡市と「立地協定」と「環境保全に関する協定」を締結。立地協定は、地域の雇用や産業の優先的な活用による小郡市の経済振興と産業発展を目指す。環境保全に関する協定は、今回の新拠点開発に伴う公害を未然に防止して地域住民の健康を保護するとともに、自然環境や生活環境の保全を図る。日本GLPは、GLP福岡小郡の稼働後の館内就労人口を450人と想定している。

GLP福岡小郡は、九州における高速道路網の結節点に位置しており、九州での配送拠点として最適な立地条件を備えているのが特徴だ。長崎自動車道「鳥栖インターチェンジ(IC)」を最寄りに、九州横断自動車道と九州縦貫自動車道の結節点となる「鳥栖ジャンクション(JCT)」にも近く、先進的な物流施設への需要が近年高まっている九州地方への広域配送拠点として注目を集めそうだ。

西鉄天神大牟田線「西鉄小郡駅」と甘木鉄道「小郡駅」から徒歩圏内と通勤アクセスも良く住宅エリアも近くにあることから、雇用確保の観点でも優位性がある。

機能面では、最大8テナントが入居可能な4階建てのマルチテナント型施設として整備する。3階につながるスロープにより「1階・2階」「3階・4階」の組み合わせで2層での使用が可能となるほか、各区画に荷物用エレベーターと垂直搬送機を設置することで、効率的なフロアオペレーションを実現。環境に配慮した取り組みとしては、自家消費型太陽光パネルの設置によるグリーン電力の館内供給を行うほか、LED照明の採用や全熱交換器などの省エネルギー設備の導入により、室内と室外の空気の効率的な換気が可能になる。

▲リビングラボのイメージ

就労環境への配慮も重視する。感染症対策として自動ドアや非接触型エレベーターの設置をはじめ、従業員用のラウンジにアクリルパネルを設置。日本GLPとして初めての試みとなる「リビングラボ」は、外から直接アクセスが可能な半屋外型のウッドデッキと一体のスペースだ。災害時には避難場所として利用できるほか、地域の集会所やファーマーズマーケットなどのコミュニケーションの場として、また気軽に休憩をしながらくつろいでもらう場所としての整備を検討しており、働く人々だけでなく地元住民の人々のより安心安全な生活をサポートする。

■GLP 福岡小郡の施設概要
所在地:福岡県小郡市小郡923-12
敷地面積:4万3000平方メートル
延床面積:9万1000平方メートル
構造:鉄骨造、地上4階建て

地方における物流拠点網のあり方を提唱する、日本GLPのGLP福岡小郡プロジェクト

日本GLPが2023年11月の完工を予定するGLP 福岡小郡は、地方部での物流施設開発の考え方を象徴したプロジェクトと言えるだろう。

首都圏や関西圏における、基幹となる巨大施設と中型・小型の施設を組み合わせたネットワーク構築スタイルとは一線を画して、その地方の商圏をカバーできる最適な立地に相応のスペックの拠点を整備するスタイルを重視する日本GLPのネットワーク構築手法は、まさに今後の「新しい生活様式」を見据えた地方における物流のあり方を提唱している。

日本GLPはGLP福岡小郡を、九州の全域をカバーできるマルチテナント型施設として開発する。九州は北部に産業が集積する一方で、沿岸部を中心に拠点都市が点在。荷物の出る場所と配送する場所が離れているのが特徴だ。九州には縦貫する高速道路が先行して整備されたが、現在は横断するルートも完成。その結節点となるのが、GLP福岡小郡の位置する鳥栖JCT周辺エリアというわけだ。

物流施設のネットワークと言えば、大都市発で地方への広域発送が中心で、地方の拠点はあくまで大都市からの荷物の中継点としての機能が求められてきた。しかし、各種製造業の地方進出や大資本による全国への店舗ネットワークの拡大に加えて、店舗に依存しないEC(電子商取引)サービスの普及は、こうした“常識”を覆した。今後はさらに、こうしたサプライチェーンの構図も変化するだろう。

日本GLPによる今回の新拠点プロジェクトは、こうした将来の地方における物流施設網のあり方を考える貴重な材料を提供していると言える。(編集部・清水直樹)