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ダブル連結トラックの対象路線拡充へ、国交省方針

2022年8月29日 (月)

行政・団体国土交通省は、1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」の普及をさらに促進する方針を固めた。2023年度に関係するインフラ整備や実証実験を行い、通行可能区間を拡大する。トラックドライバー不足やCO2排出削減という物流業界の課題解決を政策面で支援する。

▲ダブル連結トラック(出所:国土交通省)

同省は23年度予算の概算要求で「効率的な物流ネットワークの早期整備・活用」のための予算として、前年度当初予算比20%増の4289億円を要求する予定だ。ダブル連結トラックの普及促進費もその中に盛り込んでいる。働き方改革法によりトラックドライバーの時間外労働時間の規制が強化される2024年を目前に、省人化対策を急ぐ狙いもある。

ダブル連結トラックは、大型トラックの後ろにトレーラーの荷台部分をつなげた車両で、1台で(ドライバー1人で)通常のトラック2台分の荷物が運べる。全長は最長25メートル。通常の12メートル大型トラックと比べて「省人化効果」は5割、CO2削減効果は4割と見積もられている。

同省は19年1月に特殊車両通行の許可基準を緩和して使用を解禁した。運転にはけん引免許と、一定のトラック運転経験が必要で、特別な訓練の受講も義務付けられている。

道路構造や休憩施設が整った路線でないと走れないため、同省が通行区間を設定している。19年度以降、新東名高速道路の海老名ジャンクション(JCT)・豊田東JCT間を手始めに、東北、山陽、九州自動車道や東名、名神、新名神高速道路、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)などに区間を広げ、現在は北は東北自動車道の北上江釣子インターチェンジ(IC)、西は九州自動車道の太宰府ICまで伸びている。

23年度には、通行区間をさらに拡大する。サービスエリアなどの対応駐車マスも、ことし3月末時点の237台分から増やす。駐車マスを通信技術で予約するシステムの実証実験も各地で行う。区間拡充や駐車マス設置の具体化は関係機関・団体などとも協議して今後詰める。こうした促進策により、運行企業と許可台数をことし6月末時点の13社、205台から大幅に増やしたい考えだ。

ダブル連結トラックを巡っては、前のトラックと後ろのトレーラー部分を別々の運送会社が使う「共同輸送」にも利用されている。政府の促進策が、こうした物流企業同士の連携・協業を加速する可能性もある。

国交省の23年度予算概算要求6.9兆円、DXを推進