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早大と住友電工、配車計画への量子演算適用検討

2022年9月15日 (木)

サービス・商品早稲田大学は15日、量子コンピューティングの社会応用に向けて研究開発を進めている同大学理工学術院戸川研究室が、車両運行管理システム「イーグルサイト」を開発している住友電気工業と共同で、配送計画の立案に量子コンピューティングを適用する技術の実用化に向けた検討を進める、と発表した。2025年をめどに量子コンピューティングによる配送計画の立案効率化や最適化を目指す。

量子コンピューティングは、量子力学の現象を利用して並列計算を実現するコンピューター技術のことで、従来型のコンピューターよりも大幅に短い時間で計算が可能。この技術の適用可能性の1つとして、物流事業の配送計画立案など、複数の配送拠点を巡回して元の拠点に戻る最短経路を設定する「きわめて膨大な計算」を瞬時に解くことも期待されているが、最適解を導く手順や法則を定める「定式化」作業が困難をきわめ、実用化には至っていないのが実情だ。

そこで、戸川研究室と住友電気工業はこうした定式化の検討、解の妥当性の検証を21年から開始し、実際の配送ルートを想定した配送車両1台の計算に成功。この結果を受け、複数車両を対象とした同時計算や、配送開始後の計画変更などの実用化に向けた共同検討を進め、25年をめどに配送計画立案への量子コンピューティング適用を目指す。

▲最短経路のイメージ(出所:早稲田大学)

戸川研ではこの検討と併せて量子コンピューティング技術を実応用するための基礎研究を進めると同時に、産業界とともに社会応用に向けた研究開発を強化。住友電工は検討の成果を車両運行管理のトータルソリューションシステムなどの交通関連製品に将来的に搭載することを見据え、技術開発を進める。