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運輸局手続き25年電子化へ、運送団体などと協議も

2022年9月22日 (木)

行政・団体国土交通省は、自動車運送事業者が運輸局に行う各種手続きのオンライン化を2025年に実施する方針だ。「許認可行政手続きシステム」(仮称)を導入する。具体的なオンライン申請の形式や方式の仕様を23年度に検討する予定で、全日本トラック協会などの事業者団体や運送会社からも意見を聞く方針。電子手続きの具体像が徐々に見えてくるとみられ、民間の要望がどの程度反映されるか注目される。

国交省は仕様検討の費用として新規に1億円を23年度予算の概算要求に盛り込んでいる。

(イメージ)

同省によると、申請手続きのオンライン化は、「デジタルガバメント」を目指す政府全体の動きに沿った政策で、物流業界など民間で急速に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)と歩調を合わせる意味もある。貨物運送関係では、貨物自動車運送事業法に基づく新規事業認可や、事業計画の認可・届け出、運賃の届け出をはじめとする全ての手続きと審査が対象となる。22年度は、運輸局の現在の審査業務を、申請書類・添付書類、審査方法、付帯業務などの観点から見直す調査を行っている。

23年度はそれをもとに、オンラインでの具体的な申請形式・方法などについて検討する予定で、その際、地方運輸局のほかに、トラック輸送など貨物運送業界団体や大手・中小の運送会社、バスとタクシーの旅客運送業界団体などから意見を聞く。それぞれのニーズや課題をくみ取り、事業者が申請しやすい仕様の在り方を探る。現行手続きで無駄な添付書類があれば、オンライン化の際に外すこともあり得るという。

許認可行政手続きシステムは、申請を行う事業者にとって、運輸局に行く手間が省け、書類作成のシステム化や複数手続きにまたがる提出資料の共通化、申請処理期間の短縮化といった迅速化・正確化につながるメリットがある。荷物量の増大や人手不足に苦しむ陸運業界には、大きな環境改善になりそうだ。運輸局側も審査業務の機械化や事業者データの共有化、統計資料作成のシステム化などの効率化が図れる。

国交省は手続きのオンライン化に際し、「BPR」(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)という考え方に立っている。“ゼロベース”で全体最適の解決策を導こうというもので、EC(電子商取引)の拡大や物流DXの急速な導入が進む物流業界の実情や課題認識が、行政改革に適切に反映されることが期待される。