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アンモニア燃料船の国際基準、日本主導で策定へ

2022年10月3日 (月)

(イメージ)

行政・団体国土交通省はこのほど、アンモニア燃料船の安全基準づくりの国際協議で、日本政府からの提案が認められ、日本主導で基準をつくる方向になったと発表した。国交省は、これまでどちらかと言えば欧州中心に進められてきたさまざまな国際基準づくりで、日本が主導的な役割を果たすことを目指している。今回それが一つ成就する見通しとなり、造船・海運など国内産業界の成長にとっても好環境となりそうだ。

国連の専門機関の一つである国際海事機関(IMO)が9月14日から23日までロンドンで、2年半ぶりに対面形式で開いた第8回貨物運送小委員会で合意された。アンモニア燃料船は、海運分野の温室効果ガス排出削減に有効で、日本を含め世界中で開発が進められており、安全基準のあり方が課題だった。

日本は、安全基準にアンモニアの「毒性」「腐食性」「水溶性」などの項目を検討するべきと提案した。毒性に対応するため保護メガネやガスマスクなどの保護具や換気の手法、腐食性に対応するための配管などの材料の選び方などの検討が必要と提案した。既存のLNG(液化天然ガス)燃料船の規則を下敷きにして検討事項を整理した文書を小委員会に提出した。

審議の結果、日本提案をベースに安全基準案を検討することが合意された。基準案は2023年9月の第9回小委(ロンドン)に向けて、作業部会で作成する。

水素運搬船の基準も日本提案に沿って

第8回小委ではこのほか、液化水素運搬船の国際基準の見直しも話し合われた。現行では小型船舶のパイロット船にしか対応していないが、日本とオーストラリアの企業が共同で大型船の開発を進めており、基準が大型船に対応できるよう見直しを提案した。これも日本提案に沿って合意がなされ、第9回小委に向けて改正案を審議する。水素も脱炭素時代のエネルギー源として期待が高まっており、サプライチェーンの構築が課題となっている。